がしかし、3人に戻ったアッシュのステージは、そうしたゴタゴタを払拭して余りある、会心のパフォーマンスを繰り広げていた。サポートのギタリストを動員してはいたが、その音量と音圧は凄まじいくらいに大きく、何の飾りもないステージにおいて、まさに彼らの生身のプレイこそが主役となり、観る側を圧倒していた。曲も『Goldfinger』や『A Life Less Ordinary』、『Kung-Fu』など、奇しくも私が観ていた時間帯は初期の曲が多く演奏され、ぐっと入り込んでしまった。何もネガティブな要素ばかり挙げなくたって、バンドはちゃんとやってるじゃん、その結果がこの入場規制寸前の状態なんじゃん、と安心したのだった。
そして再びグリーンステージに舞い戻り、この日のトリであるビースティ・ボーイズを。ステージにはバンド用のセットが既に用意されている中、まずはミックス・マスター・マイクによるDJプレイが始まり、少しするとサンダーバードのカウントダウンが始まり、そしてついに3人が登場。3人とも、現在のパブリックイメージでもあるスーツにサングラスといういでたちだ。直前に全編インストの新譜『The Mix Up』をリリースしたばかりで、ライヴがどのようなスタイルになるのかが注目だったが、まずは『Super Disco Breakin'』〜『Sure Shot』という、「ノーマルな」スタイルでスタートだ。
そして、10分ほどすると3人はそれぞれ楽器を手にして演奏を始める。アド・ロックがギター、MCAがウッドベース、マイクDがドラムである。ステージにはサポートのドラマーもいてツインドラム状態になり、更にはマニー・マークもキーボードで加わり、フルバンド状態になって演奏が繰り広げられた。マイクDがリードヴォーカルを取る曲やインストの曲などが演奏されると、再びラップスタイルへと戻る。メンバーはいつのまにかサングラスを取って素顔をオープンにし、またスーツの上着も脱いでいた。『Body Movin'』や『Check It Out』では場内はタテノリになったし、またMCの中でランダムに「Fuji Rock!!」と言っていて、そこにもオーディエンスは反応した。
ステージのバックドロップにはスクリーンがあり、曲にシンクロして映像が流されていた。中にはスペース・カウボーイ本人がギターを弾いたり女性ダンサーと戯れたりする映像も流れていて、それがオーディエンスの興奮の度合いを一層高めていた。演奏と言っても、ほとんどiBookと隣接している機材の操作のように見え、もちろん生楽器を弾くことはない。そしてデジタル機器のチューニングが今ひとつだったのか、ところどころで音が飛んだりズレたりするという、あいたたた〜という状態になったこともしばしば。しかしそれでも、ラストはプリンス『I Would Die 4 U』のデジタルカヴァーできっちりと締めくくってくれた。この後のアクトも気にはなっていたのだが、翌日のことも考慮し、2日目はここで引き上げることにした。