Fuji Rock Festival'07 Day 2-Vol.1 Juliette & The Licks/Motion City Soundtrack/Sandi Thom/Switches







初日は快晴だったが、そのせいもあってか結構疲労が残った。朝は10時半過ぎに宿を出たのだが、さすがに中日の土曜日ということもあってか、前日よりも人が多い。目当てにしていたアーティストの開始に間に合わず、音だけが漏れ聴こえてきた。


その目当てというのは、グリーンステージの一発目であるジュリエット&ザ・リックスである。女優ジュリエット・ルイスがバンドを率いて音楽活動を行っているのだが、芸能人が片手間に音楽もやってます的なノリではもちろんなく、音楽そのものと真摯に向き合っているのだ。私は観ていないが2年前のフジロックにも出演しており、このときはホワイトステージで自らモッシュピットにダイブする暴れっぷりを見せ、そのパフォーマンスは語り草になっていた。


そのパフォーマンスは、ステージが大きくなってももちろん変わることはなかった。曲に込める情念は尋常ではなく、まさに全身全霊を尽くして音楽表現に賭けている。そのさまは女イギー・ポップと形容したくなるくらいで、奇しくもこの日ストゥージズとして同じステージに上がるイギーの魂を継承し、そして先陣を切っているかのようだ。小柄で華奢な体であるのだが、ステージ上を右に左にと動き回り、そして終盤ではやはりやってくれました。自らステージを降りるとモッシュピットに身を投じ、もみくちゃにされながらもなお熱唱するジュリエット。それを観ていて、この日もいいスタートが切れたという思いだ。





続いては同じくグリーンで、パンク色の濃いレーベル「エピタフ」所属のモーション・シティ・サウンドトラックを。モッシュピット近辺は一気に人が引いてがらんとしてしまったが、そんな中をこのアメリカの5人組はギターをかき鳴らして蹴散らした。音は元気なエモパンクだが、ピアノが入っていることでアクセントがついており、先人たちの音を継承しつつ自分たちのオリジナリティを表現せんとするさまが伺える。がしかし、ここで弱い雨が降り出したこともあって、少し早めにレッドマーキーへと移動を。





マーキーに登場するは、女性新鋭シンガー・ソングライターのサンディ・トムだ。バンドを従えての登場だが、歌もパフォーマンスも中心になるのはもちろんサンディその人で、その存在感の大きさがとても新鋭とは思えない。バンドメンバーも、献身的に彼女をサポートしていて好感が持てる。曲はほぼ全曲でクラップ・ハンズ状態になり、サンディとオーディエンスとのコミュニケーションによって、温かくそして素晴らしいライヴ空間が出来上がっている。


そして、クライマックスは終盤にやってきた。現在の彼女の代表曲となっている『I Wish I Was A Punk Rocker』を、サンディはアカペラで歌い始め、この出だしのところだけで場内は大きくざわついた。ストリートを歩きながら歌うという、この曲のPVもかなりのインパクトがあった。がしかし、ナマの実物が放出するエネルギーの大きさは更に巨大で、小柄な女性が発しているとは思えないほどエモーショナルだった。ここまでがそうだったように、この曲においても要所要所でクラップハンズとなり、彼女自身もそれを楽しみ、それにノセられるようにして歌い上げていった。PVでは中盤からバンドモードへとシフトしていくのだが、この場ではドラムビートが入っただけで、ほとんどアカペラのままで彼女は歌い切ってしまった。その思い切りのよさがまたよくて、何年か先には、現在のシェリル・クロウのような存在になっているのではと思えてきた。





引き続きレッドマーキーに居座り、お次は既にプロモ来日を果たしているUK新鋭のスウィッチズだ。イキがよくヌケたギターロックは、UKロックの王道を継承しているようでもあり、しかしパワーポップの要素も備えていて、結構ユニークである。ほとばしるエネルギーには若々しさがあって、タダ者ではないクセの強さを感じさせる。時間が許すならばフルで観たかったのだが、結局前半だけを観てレッドマーキーを後にした。先ほどまで降っていた弱い雨は、とっくにあがっていた。


(2007.8.20.)
















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