Fuji Rock Festival'06 Day 3-Vol.1 Milburn/Isis/Rinocerose/Snow Patrol







さて3日目となったが、嬉しいことに朝から好天に恵まれた。過去3年はいずれも雨で、体力的にも気持ちの面でもタフさを強いられたが、今年は初日が曇り、2日目も雨こそ降りはしたがそれも半日程度で、そして3日目は晴れ。ここ数年では最も過ごしやすい天候になったと言えよう。この日はまずオアシスで食事。レッドマーキーからはギターウルフの音が漏れてきていた。贅沢なBGMだ。


さて食事も終えレッドマーキーに入ってみると、場内は閑散としていた。そんな中時間になり、UKニューカマーのミルバーンが始まった。アークティック・モンキーズと同郷のシェフィールド出身だそうで、パフォーマンスには若さがほとばしり、ギターを軸にしたポップなサウンドを炸裂させていた。まだEPを出しただけで、フルアルバムは今後リリースされるとは思うが、これぞ!という決めになる曲がほしいところだ。





3日目の個人的スケジュールは、ホワイトステージが中心だ。レッドマーキーを出てグリーンステージの後方を歩き(今年は舗装されてとても歩きやすかった)、木々に囲まれた林道を歩いて行く。エンヴィーの音が漏れ聴こえてきたのだが、川を渡る手前くらいでライヴが終わった様子だった。そして、ホワイトステージにたどり着いた。


まずはアイシス。4人組だが、ドラマー以外の3人が横一列に並び、淡々とギターやベースを弾いている。黒づくめの格好で、坊主頭で、顔は強面で、と、見た目だけならヘヴィメタもしくはヘヴィーロックのたたずまいなのだが、しかし彼らがやっている音楽は、轟音でありながらひんやりとした感覚があって、これが真夏の真っ昼間という舞台には意外や結構マッチしている。時折ヴォーカルが入るが、歌うというよりは咆哮に近く、ことばによってメッセージを伝えるのではなく、人間の肉声を楽器のひとつとして組み込んでいる感がある。個人的に、こういう音や雰囲気は嫌いではなく、その異形ぶりに圧倒される半面、嬉しさのあまりニヤついてしまった。今後はToolと組んで全米をツアーするとのこと。両者は結構似通っているかもしれない。





セットチェンジ中にアヴァロンに行ってサワディーのタイラーメンを買い、戻ってきて食べた。タイラーメンは、初日の夜にオレンジコートでも別の出店のを食べたのだが、スープのダシの旨味がぜんぜん違うので、やはりサワディーに限る。そうしているうちに時間になり、お次はフランスのライノセラスだ。


iPodのCMで曲が使われていることもあって話題性充分だが、実は新人ではなく、アルバムを何枚もリリースしている。2人によるユニットと聞いていたが、ステージにはバンド編成で陣取っていた。曲はいずれもデジタルにしてダンサブルであり、ノリがいい。そして曲によってヴォーカルが入れ替わるのだが、アフロヘアの人がいるかと思えば苗場プリンスホテルの浴衣を着た兄ちゃんもいて、なかなかユニークだ(結局この人がいちばん目立っていた)。そしてサプライズは、元ライドのマーク・ガードナー。観るのは2000年のフジでのアニマルハウス以来だが、見た目はそのときとあまり変わっていなかった。さて、終盤ではもちろんヒット曲『Cubicle』を炸裂させたライノセラス。とてもいいライヴだったと思うし、フジだけでなくエレクトラグライドにも合いそうだ。





ボードウォークを歩いてグリーンステージに舞い戻り、スノウ・パトロールを観る。フジには2004年に参戦していて、そのときのステージはレッドマーキーだった。バンドは今年、新譜『Wide Open』をリリースし、今や本国では押しも押されぬ存在にまで上り詰めているらしい。個人的にも好きなバンドで、2年ぶりに観れるのをとても楽しみにしていた。


もともと演奏力があり、新譜ではスケール感も表現できるようになって、後々まで語り継がれるような決定的なライヴになっていい条件は揃ったはずだった。しかし、どうしたことか彼らは今ひとつだった。バンドのコンビネーションがうまく噛み合っているとは言い難く、よって演奏のキレもなく、どうにもちぐはぐな状態に。出だしをトチってしまい、やり直す曲もあった始末。終盤に放たれた名曲『Run』も、残念ながらここでは起死回生とはならなかった。本国ではこれくらいの規模のステージでも堂々とこなしているハズなのに、まさかグリーンステージということで萎縮してしまったのだろうか。


(2006.8.27.)
















Back(Day 2-Vol.3) | Next(Day 3-Vol.2)





Copyright©Flowers Of Romance, All Rights Reserved.