Fuji Rock Festival'06/Day 1-Vol.2 The Cooper Temple Clause/Trashcan Sinatras/Gnarls Barkley







ホワイトステージの入り口手前を左に行くとトイレになるのだが、その手前で道が枝分かれしていて、実はそこはグリーンステージ方面に戻ることのできるボードウォークだった。昨年まではまだ工事中だったのだが、今年ついに完成。一方通行だし、ふつうに林道を歩くよりも早いのではないかと考え、早速利用してみた。


ボードウォークは、主催者が呼びかけてボランティア参加した方々や、地元苗場の方々らが参加して作られた。木製の板を1枚ずつ打ち付けていって道が出来上がっているのだが、その板にはメッセージとか自分の名前とか学校とかが書かれていて、歩きながらそれを読むのも楽しかった。林の中を歩くので、木陰に囲まれてとても涼しく、そして気持ちがよかった。終盤に川を渡り、土手を登って行くと、グリーンステージ向かって右側後方の、タワーレコードやA Seed Japanのテントの裏側辺りに出た。所要時間は約10分だった。今年はホワイトとグリーンを行き来する機会が多かったので、このルートは何度も利用させてもらった。ボードウォークは、既にホワイトステージ入り口からオレンジコート方面へのルートが出来上がっているが、どちらのルートもよく作ったなあというありがたい気持ちでいっぱいだ。





グリーンステージで、クーパー・テンプル・クロウズを観た。個人的には5年前にレッドマーキーで観たことがあって、デビュー間もない彼らは若さに溢れていて、何をしでかすかわからない、得体の知れなさが魅力的だった。新人とは得てしてそういうものだが、その後成長を遂げるアーティストと、朽ちてしまうアーティストとがいて、では彼らはどうなのだろうと思っていた。とりあえずは、5年が経ってもバンドが存続し、大きなステージに立つことはできている。


曲は意外やミディアムもしくはスローな曲調のものが多く、若さで押しまくる時期を過ぎてじっくりと丹念に演奏するバンドに変貌したという印象を受けた。乱立するUKギターバンドと一線を画しているのはキーボードの音色で、そこに彼らの実験精神を垣間見ることはできた。ただ、決定打となるような曲やフレーズが見当たらず、大きなステージでのライヴとなるとちと物足りない。このまま中堅どころに収まってしまうのか、それとも起死回生でブレイクできるのか、今後が勝負だ。





再び移動で、今度はホワイトステージを通過し、アヴァロンフィールドの中にあるジプシー・アヴァロンというステージに来た。2002年に始まったときはゲリラ的にアーティストが出演したりライヴをしたりしていたのだが、今や通常のステージとして出演者も事前にオープンになり、タムテーブルも発表されている。ここの醍醐味は、ステージ自体が小さくそして敷地も狭いため、アーティストをかなり近いところで観られることだ。


ここで観たのは、トラッシュキャン・シナトラズ。音合わせを本人たちがしていて、こうした光景もこのステージでは当たり前のこと。やがて時間になり、正式にバンドが登場。アコ−スティックで、ギターやベースの弦をはじくさまやパーカッションを叩くさまが手に取るようにクリアに見て取れ、また音そのものもソフトで心地よかった。私が聴いてそれとわかったのは『How Can I Apply...?』1曲だけだったが、彼らは1曲1曲を丹念に演奏していて、その姿に好感が持てた。途中上空を飛ぶヘリコプターの音をメンバーが気にする場面もあったが、ヘリが通り過ぎると演奏を再開。場内には、終始ピースフルな空気が漂っていた。





ホワイトステージに戻り、ナールズ・バークレイを。シングルがUKで2ヶ月1位を突っ走ったという話題のユニットで、その正体はデンジャー・マウスとシー・ローという、DJ2人組。共に他のアーティストとの仕事で名を馳せている注目のユニットということになるのだが、果たしてライヴになったらどうよ?と、少し不安でもあった。


ステージに登場したのは、2人のほかドラムやギター、コーラス、そして女性4人組の弦楽器隊だ(日本人がいたようにも見えたけど)。まず衣装がユニークで、男性陣はシェフ、女性陣はウェイトレス姿。デンジャー・マウスは卓上でプレイし、ブッチャー風の体形のシー・ローがヴォーカリストとしてライヴを牽引。演奏がしっかりしているのにまず驚き、弦楽器隊が演奏パートがないときには上体を揺らして踊っているのには、微笑ましくなった。曲間に場内が静かになると、そうはさせじと煽るシー・ローのサービス精神にも恐れ入った。そしてクライマックスになったのは、終盤に放たれた『Crazy』だった。当然と言えば当然だが、旬のヒット曲をナマで聴けてしまう機会というのはそうはなく、その醍醐味といったらたまらない。





今度は、オレンジコート方面へ続いているボードウォークを歩いた。ここを歩くのは、2003年の3日目の夜以来で、木々に囲まれた心地よい空間を歩き、去年かおととしくらいに出来た小さなステージ「木道亭」の脇も通り過ぎ、約10分かかってオレンジコートにたどり着いた。しかし、このときのオレンジコートは入場規制寸前の密集ぶりで、かなりあせった。この後のスケジュールを考えてトイレを済ませ食事を摂ろうと思ったのだが、今年はどちらもステージ向かって左側に設置され、トイレに並ぶ列と食べ物を買おうと並ぶ列とが交錯し、大渋滞を引き起こしていた。


(2006.8.23.)
















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