Fuji Rock Festival '04 Summary フジロックフェスティバル'04を総括する







チケットが3日通し券のみになり(主催者側の理想のひとつだそうだ)、またラインナップの発表も、他のフェスティバルに比べると遅めだった今回のフジロック。しかし、動員は3日間で延べ10万人を記録したそうで、依然としてロックファンから根強い支持を受けていることを証明してみせた。一方では大トリのモリッシーが開催2週間前にドタキャンし、その代役としてトリビュートバンドがあてがわれるという「事件」もあった。ここでは今年のフジロックの良かった点、改善すべき点について検証する。もちろん、私の独断と偏見によるものです。

1. 会場 苗場スキー場は快適だったのか
2. 仕切り 主催者の手際はよかったのか
3. ショップエリア 食事やグッズ売り場はどうだったのか
4. コスト チケット代等
5. マナー 参加する側の意識について
6. ラインナップ(1) 主要ステージでは入場規制はなかった!?
7. ラインナップ(2) モリッシーのドタキャンについて
8. トータル そして、来年に向けて












1. 会場 苗場スキー場は快適だったのか

昨年からステージの数は5つになり、各ステージで熱いライヴが繰り広げられた。が、ご存知のようにステージは他にもあって、アヴァロンフィールド内にあるジプシーアヴァロン、入場口前にあるルーキー・アー・ゴー・ゴーといった、小規模のステージも充実させようとする意気込みも感じられた。これらのステージを経て、より大きなステージに進出するアーティストを見届けて行くというのも、今後のフジの楽しみになってくるかもしれない。またレポートにも書いたが、ホワイトステージ直前のエリアにおいて、夜には無数の光が周囲の木々に照らされていて、これがとてもきれいだった。「夏の苗場に降る雪」だそうだ。


入場口からすぐのトイレのところとオアシスとの間に橋が渡され、これでオアシスから行き来するルートが増えたことになり、かなり楽になった。一方通行を推奨していたのだが、それを徹底させるならば、もう1本橋を作ってはどうだろうか。


今年はホワイトステージのトイレは橋を渡ってすぐの左側に設置されていたのだが、トイレへの道が途中で枝分かれしていて、右に行くとトイレ、左は草むらに向かって伸びており、よく見ると「この道は未来へと続く」とかいう、意味深なことばが書かれていた。来年の開催時には、ココに新たな何かが出来上がっているのかも。








2. 仕切り 主催者の手際はよかったのか

今年からリストバンドにはICチップが埋め込まれ、入場時には赤外線のパネルにリストバンドをかざしてチェックをした。これは不正入場防止のためだそうで、そんなことをする輩がいるのかという悲しさと、状況を正そうとする主催者側の熱意を感じた。不正といえば、昨年は一方通行のボードウォークを逆に歩いてくる輩もいたのだが、今年は出口つまりオレンジコート入り口前にセキュリティがどんと構えていて、それをさせなかった。いいことだ。


仕切り/手際といえば、モリッシードタキャンのリカバリだが、これは非常にまずかったと思う。グリーンステージの進行を務める人が初日の朝に思わせぶりな発言をしたこと、3日目のタイムテーブルを変えずにそのまま進めたことなどについては、もっと別の対処の仕方があったと思っている。詳しくは、ラインナップのところで書きます。








3. ショップエリア 食事やグッズ売り場はどうだったのか

食事エリアについては、レッドマーキー脇のオアシスエリアが本丸だが、マーキーのライヴが深夜にまで及んでいるように、各出店も深夜までフル回転で営業しているところが多く、便利なのと大変だなという思いとが交錯する。


グッズ売り場については、開催期間中売り場は慢性的に混み合っていて、それを解消させるための対処をしてほしい。過去の総括にも書いたのだが、入り口前のオフィシャルグッズ売り場については、前日からの販売をやってはどうか(過去には'99のときに実施されている)。それから、アーティストグッズ売り場は3日目にもなると品切れが多くなっているので、在庫の強化を図ってほしい。








4. コスト チケット代等

今年は1日券及び2日券がなくなり、3日通し券オンリーになった。個人的には毎年3日間参加しているので影響はなかったものの、これは相当なインパクトを与えていると思う。これまで1日もしくは2日の参加だった人は、今回はどうしたのだろうか(不参加だったか、それとも3日券のチケットを取って1日や2日だけ参加したか、ということになると思うが)。これは主催者の理想のひとつだったそうで、もともと3日間でワンセットという考え方なのだとか。


3日通し券の代金は36,000円と例年より2,000円値下げになり、更に早期に申し込んだ人には過去のフジロックのダイジェストを収めたDVDをプレゼントするという特典もあった。また早割りは昨年の10,000枚から半減させて5,000枚にして販売。これで行くと早割りはいずれなくなって、その代わり代金そのものを下げる、という方向になるのかな。


最後に、これも過去の総括に繰り返し書いてきたことだが、早割りのSMASH会員枠というのを設けてほしい。ことフジロックに関して、会員としてのアドバンテージがないのは、納得がいかない。








5. マナー 参加する側の意識について

私は去年から折りたたみの椅子を携行して場内を移動するようにしているのだが、他にもこうした人を多く見かけるようになった。場所をあまり選ぶことなく座れるというのは、実際のところ非常に楽で快適なのだが、ステージ直前のモッシュピット内でこれをやっている人には閉口した。人が密集していてそんな中で椅子を広げるのは危ないことくらい、考えなくてもわかりそうなものなのに、平気でそれをする人の神経がわからない。ケガとかトラブルとかは起きなかったのだろうか。








6. ラインナップ(1) 主要ステージでは入場規制はなかった!?

各ステージの様子をリアルタイムで伝えてくれる携帯サイト、Cool Soundで期間中にチェックしていた限りでは、主要5ステージでの入場規制はなかったようだ。特に規制が起こりやすいホワイト/ヘヴン/オレンジコート方面は、昨年できたボードウォークが功を奏したのだろうか。ジプシー・アヴァロンでは、原田郁子のときに入場規制がかかったと聞いている。


グリーンステージのヘッドライナーを見てみると、ルー・リード、ケミカル・ブラザーズ、ホワイト・ストライプスという面々。もちろん3組とも質の高いライヴをしてくれた様子だし、こういうフェスもアリなのかもしれないが、少しインパクトに欠けていると感じている。ケミカルは実に4度目の出演かつ2度目のトリで新鮮味がないし、ホワイト・ストライプスはモリッシードタキャンの代替のトリ扱いだし、ルー・リ−ドはキャリアと格は充分だが、巨大野外には似合わない。








7. ラインナップ(2) モリッシーのドタキャンについて

まず、ヘッドライナーとしてブッキングしていながらそれを直前になってキャンセルされてしまうというのは、病気や事故といった理由でもない限り、プロモーターとしては恥ずかしいことと認識すべきである。今回の理由はマネージメントと本人との行き違いが原因とされているが、所詮はコミュニケーション不足ではないのか。いくら相手が気分屋モリッシーとはいえ、不明瞭な理由でのドタキャンは許されることではない。


次に代役アーティストだが、開催2週間前のドタキャンで、ビザの関係などもあって同格のアーティストを呼べないというのはわかる。がしかし、スミスのトリビュートバンドを抜擢するのであれば、夜9時半からという従来のヘッドライナーの枠ではあまりにもキツすぎる。シャレにもなっていない。であれば、3日目の朝一とか、あるいは日中の時間帯に彼らを出して、以降のアーティストを後ろにずらし、9時半からホワイト・ストライプスというようにすればよかったのではないか。








8. トータル そして、来年に向けて

チケットを3日通し券のみにしたことで、フジロックは新たなフェーズに向かった感がある。これにより参加を断念した人もいたかもしれないが、結果だけを見れば動員が極端に鈍ることはなく、開催中は大いに賑わった。3日通し券のみの導入は、ポリシーならポリシーとしてころころ変えずに貫いて行くべきだと思うが、これによってフジロックは「参加者を選ぶ」フェスになったような気がする。


洋邦取り混ぜた夏場の野外フェスティバルとしては、これまでのサマーソニックに加え、今年はロック・オデッセイが参入。しかもこれらのフェスが一週おきに開催され、いよいよフェス競合、フェスバブル時代が到来したことを感じさせる。他の2つのフェスが4月早々に主要ラインナップを発表したのに対し、フジロックは少しずつ小出しで発表していった。これは、フジロックが決してメンツだけに頼っていないことの自信から来ると思われる。個人的にはもう少しメンツにこだわってほしいところで、そうすればフジの楽しさや素晴らしさは更に倍増するはずだ。





















Copyright©Flowers Of Romance, All Rights Reserved.