Fuji Rock Festival'04/Day 3-Vol.1 The Soundtrack Of Our Lives/あぶらだこ/South/Mum







初日及び2日目は、雨が降ったりやんだりというはっきりしない天候だったが、3日目になってようやく晴れた。好天の苗場は日中は日差しが強くなるので、入念に日焼け止めを塗り、帽子やタオルといった装備もしっかりして会場入り。ステージからの告知は特にはなかったが、オアシスのインフォメーションエリアに行くと、グリーンステージのタイムテーブルには変更がないことが周知されていた。つまり、モリッシードタキャンの代役は、そのままモリッシーが出るはずだった時間に出演するということだ。





まずはグリーンで、サウンドトラック・オブ・アワ・ライヴスを。と、フロントの人に見覚えがあることに気付く。司祭のような服装をした巨漢にヒゲの人で、なぜ見覚えがあるのかというと、初日や2日目にグリーンステージにふつうに客の中にいたのだ。どっしりした体格ということもあり、いやに存在感のある目立つ人だったが、アーティストなのか一般の人なのかそのときはわからなかった。出演者だったのか。。。バンドは結構大所帯で、音はサイケなテイストが漂うロックンロール。スウェーデンの出身だそうだ。





ホワイトに移動し、あぶらだこを。高校時代に後輩から聴かせてもらったことがあって、そのときはこてこてのパンクだった。がしかし、フジの舞台でナマで観た彼らは、パンクロックのイメージからはほど遠い、虚無的な雰囲気漂う異様なライヴをした。メンバーに派手なアクションはほとんどなく、直立不動で淡々と歌い、演奏する。どうやら彼らがパンクロックをやっていたのは初期だけのようで、その後は音楽の枠を次々にぶち壊すような活動をしているらしい。


続いてはサウス。フジロックへの出演は3年前のレッドマーキー以来となり、来日自体は3月のマジック・ロック・アウト以来となる。メンバーにカリスマ性がないこともあってか(失礼)、地味な職人バンドという印象が強い連中だが、演奏力は確かな人たちなので、ライヴの方も観ていて安心できる。今回は、屋外という舞台にその心地良いギターサウンドをうまく乗せていて、その場にいてとても気持ちがよかった。





この後はかなりまめに動いて、限られた時間の間にいろいろなライヴを観た。まずはフィールド・オブ・ヘヴンに行き、ハナレグミを。ギター弾き語りで気持ち良さそうに歌っていた。フジの、いやヘヴンの雰囲気が気に入ったようだ。それからオレンジコートに足を伸ばし、K-106を。ブラスロックと言えばいいのか、オールインストながらダンサブルなサウンドを発していた。とんぼ返りして、今度はアヴァロン・フィールド内にある狭いステージ、ジプシー・アヴァロンへ。ここでニヤニヤという、ちょっと風変わりなバンドのまったりした演奏に耳を傾けた。





MUM(ムーム)を観るのも、初日のヘイヴンと同じく2年前のサマーソニック以来のこと。アイスランド発、電子音と多彩な楽器を駆使した演奏、そして透明感溢れるヴォーカルは不思議な世界観を作り上げる。のだが、それが果たして真っ昼間の野外ステージにマッチするのだろうか、彼らの持ち味がかえって半減してしまうのではないだろうかという不安もあった。


しかし魅力が半減されるどころか、彼らは野外の空間を取り込むことに見事に成功。ホワイトステージを、白昼夢のような異次元の磁場で包んだ。バイオリンやチェロ、アコーディオン、ハンドベルといった楽器を1曲毎に駆使し、丹念に演奏。それらがギターやドラムといった生楽器の音と相俟って、幻想的な音の世界を構築している。もともとこのユニットは美人双子姉妹が看板だったのだが、現在はうちひとりが脱退。しかしヴォーカルがひとりになろうとも、そのかすれたような歌声が生み出す魔力は、変わることはない。陽が照ってじりじりと暑かったはずの場内なのに、この世界観に吸い込まれてしまうと、そうした暑さは気にならなかった。


(2005.2.1.)
















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