Fuji Rock Festival '03 Summary フジロックフェスティバル'03を総括する







前年以上の動員を記録し、初日と2日目はあいにくの悪天候であったにもかかわらず、大きな混乱もなく無事終了。ステージ数は更に増えて、フィールド・オブ・ヘヴンの奥には「新ステージ」オレンジ・コートもお目見え。ホワイトステージの手前から両ステージへ直通となる「ボードウォーク」も完成し、昨年のような渋滞も起こらなかった。ここでは今年のフジロックの良かった点、改善すべき点について検証する。もちろん、私の独断と偏見によるものです。

1. 会場 苗場スキー場は快適だったのか
2. 仕切り 主催者の手際はよかったのか
3. ショップエリア 食事やグッズ売り場はどうだったのか
4. コスト チケット代等
5. マナー 参加する側の意識について
6. ラインナップ(1) 入場規制は1組だけ!?
7. ラインナップ(2) 個人的に感じたいくつかの傾向、そして感想
8. トータル そして、来年に向けて












1. 会場 苗場スキー場は快適だったのか

既存の4つのステージについては、昨年とほぼ同じ設定。そして第5のステージとなったオレンジコートだが、フィールド・オブ・ヘヴンと近すぎるがために、音が漏れてきたことがあった。物理的な条件なので如何ともしがたいかもしれないが、せめて両ステージの出演時間を調整するなどして、少しでもダブらないようにしてはどうだろうか。


ホワイトステージ手前の林道から始まり、ヘヴンとオレンジコートに直通になっている道「ボードウォーク」。ちゃんと明かりも用意されていて、夜歩いても足元が暗いとか、歩きにくいとか、そうした不具合はなかった。そして何より、この道はスタッフやボランティアの方々が板を1枚1枚敷き詰めたことによる、手作りで出来上がった道だということ。はっきり言って、感動した。ホワイト手前に架かっていた橋が2重になったのも、ありがたかった。








2. 仕切り 主催者の手際はよかったのか

前夜祭からのチケットとリストバンドの交換受け付け、オアシス入り口に設置された総合案内のブースなど、効率化や情報の伝達手段についての工夫は年々充実していっている。そしてこれも昨年からだが、Cool Soundsという携帯サイトにて、各ステージの運行状況、入場規制の有無といった情報も配信されるようになった。


昨年は伝達が充分ではなかった、出演キャンセルの代打や、アヴァロンフィールドのラインナップ及び時間についても、こうした手段などにより浸透して行ったと思う(利用する側が意識的になったというのもあるかもしれないけど)。








3. ショップエリア 食事やグッズ売り場はどうだったのか

食事エリアは、レッドマーキー脇のオアシスエリア、アヴァロンフィールドが定番。フィールド・オブ・ヘヴンや新設のオレンジコート内には、独自性の強い料理が用意されていた。しかし、オアシスやアヴァロンは慢性的に混み混み。物理的な制約もあるので、時間を外すなどして自己解決するしかないのかなあ。


グッズ売り場は、昨年格段に向上したが、それでも混んでいるときは混んでいる。そこで提案。チケットとリストバンドの交換を前日から行っているように、グッズを前日から販売してはどうだろうか。場所の都合もあって、それができるのはキャンプサイト入り口手前のオフィシャルグッズ売り場だけになろうが、それでもやってほしい。というか、実は過去に1度だけやっている。会場が苗場に移った最初の年である'99のときで、もちろんありがたく利用させていただいた。








4. コスト チケット代等

1日券14,500円。3日通し38,000円というのは例年と同様。そして昨年から始まった早割りだが、今年も実施された。3日通し券のみで値段は30,000円、1万枚限定というものだ。販売は3月で、つまりラインナップが正式発表される前。メンツ如何にかかわらず、とにかく3日間行くぞー、という人に向けてのものだと思うが、結果は昨年以上に応募者が殺到し、抽選が実施された。


再三書いていることだが、チケット代の他に交通費や宿泊費などを含めると、トータルは約10万/人となる。社会人でさえ決して軽くはない負担なのに、これが学生さんだったりすると、それがどれだけ重くのしかかってくるかは、想像に難くない。無茶を承知で書かせてもらえば、早割りの枚数制限を取っ払って欲しい。応募は現在と同様3月中とし、その間申し込みをし代金を支払った人に対しては、漏れなく30,000円で3日通し券を提供できるように・・・。それから昨年も書いたけど、SMASH会員は常に早割り適用とか、そんなアドバンテージがあってもいいと思うのだが。








5. マナー 参加する側の意識について

グリーンとレッドマーキーの間の橋は2つあって、それぞれ一方通行のはずなのだが、逆行している人が少なくなかった。これはボードウォークもそうで、なぜ平気でこんなことするかねと、怒りが沸くというよりあきれてしまう。


入場口近くのトイレだが、参加者が増えたこともあってか、両側に人が並ぶという奇妙な形態になった。トイレが空くと、並んでいる人がお互い譲り合い、交互に入っていったのが印象的だ。当たり前といえば、当たり前のことなんだけどね。








6. ラインナップ(1) 入場規制は1組だけ!?

毎年毎年解消しなかった問題のひとつに、入場規制がある。これはグリーン以外のどのステージでも起こり得ることなのだが、これが今年はほとんどなかった。私が携帯サイトのCool Soundsでチェックしていた限りにおいては、規制がかかったのは3日目レッドマーキーのエゴ・ラッピン1組だけだったと思う。特に規制が起こりやすいホワイト/ヘヴン/オレンジコート方面だが、これはボードウォークが功を奏したと見ていいのかな。


個人的に残念だったのは、2日目でビョークとイギーポップがバッティングしたこと。複数ステージが同時進行するのだから、バッティングというのはどうしても避けられない(そもそもバッティングを意識するかしないかだって、参加者によって千差万別だし)。ただこの両者については、以前'98でもやはりバッティングしている。なんで同じことを2度も繰り返すかね。私は、イギーはグリーンの日中にしてもよかったと思う。








7. ラインナップ(2) 個人的に感じたいくつかの傾向、そして感想

【大物アーティストが苗場来襲】
去年のレッチリやプロディジーがそうだったように、フジロックの出演暦はあるが苗場は初めて、という大物アーティストが今年は目立った。ビョーク、イギー・ポップ、マッシヴ・アタック、エルヴィス・コステロといった、いずれもヘッドライナーだ。またジョン・スクワイアは実質的に初参加だが、実は中止となった天神山2日目において、当時組んでいたバンドのシー・ホーセズとしてエントリーされていた。


【カウンターフィット・ビートルズ】
前夜祭にスペシャルゲストとして出演した、ビートルズのコピーバンド。こういうバンドを起用できるという発想を共感し、歓迎したい。そして彼らは、3日間フル稼働。これまでもナワン・ケチョやジェス・クラインなど、連日各ステージに出没したアーティストはいたが、今回の彼らこそが、この連闘を最も生かしていたのではないだろうか(3日目のグリーンは息切れ気味に見えたけど)。


【コステロ大トリ】
グリーンステージのトリだが、初日アンダーワールド、2日目ビョークは、いずれも最後に出演。しかし3日目のエルヴィス・コステロは、最後からひとつ前の出演で、時間としては7時過ぎだった。コステロは確かに素晴らしいアーティストではあるが、グリーンステージで3万人を前にしてのトリというポジションは、しかも日本においては、それは果たして相応しかったのだろうか。個人的には、やはりコステロの後のマッシヴ・アタックが大トリだったと思っている。








8. トータル そして、来年に向けて

今年は2日目のチケットは開催前に売り切れになり、そして実際の動員は3日間トータルで延べ10万人。悪天候に見舞われたにもかかわらず、動員が伸びているというのは、フジロックが夏の風物詩として定着していっていることの証だと思う。とすれば、来年は今年以上の動員が予想され、食事エリアやグッズ売り場をもう一箇所増やすといったことも考えた方がいいかもしれない(グリーン~ホワイト間の道とその空間を、なんとか有効利用できないだろうか。現在既にキッズ・エリアとかあることはあるのだけど)。


ラインナップは、個人的にはメタリカが既に内定しているのではないかと睨んでいる。パティ・スミスのように、フジロックの空間を気に入ってくれて、また出たいと言ってくれるアーティストが増えてきているのはとてもありがたい。そうした面々に加え、フジロック未参加のアーティストを(特にヘッドライナークラスとして)迎えることができれば、一層奥の深いフェスとして成り立っていくと思う(3月の来日時にバンド側から出演を申し出たが、枠がなくて断らざるをえなかったパール・ジャムとか)。





















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