Fuji Rock Festival'03 Day 2-Vol.2 Kinesis/ARB/Coldplay







今年のフジロックで、楽しみにしていたバンドのひとつに、外道があった。70'sの日本のロック黎明期に活躍していたバンドで、作品の再リリースということもあってか、今年になって突如活動を再開。外道は2日目のフィールド・オブ・ヘヴンに出演予定だったが、ここで私は考えた。天候が回復したとはいえ、ホワイトステージから奥の足場については、簡単に回復するものではない。そして外道ならば、仮に今回を外したとしても、また観る機会はあるはずだ(10月に、外道をメインに据えたイベントを観に行く予定)。


こうしていろいろ思案した末、結局マーキーに残留することにした。今日は私にとってはマーキーデーか(笑)。そして外道を切って選んだバンドは、UKの新鋭キネシスだ。こどばは悪いかもしれないが、このキネシスについては、逆に今回を外すともう観る機会がないかもしれない。


メンバーは6人いるが、みな20歳そこそこだそうで、とにかく若い。それは見た目だけでなく、演奏そのものも弾けている。私が観たところでは、サウンドはアッシュを思い起こさせる。ネオ・ガレージを始めとする、ロックンロール・ルネッサンスがひとつの流れになっているここ数年では、ギターバンドとしてやって行くことは、逆にとてつもなく困難かもしれない。アッシュも若くしてデビューしていて、かつUKで生き残り続けている数少ないギターバンドだが、果たしてキネシスは生き残れるだろうか。





先に書いた外道と同様、ARBも今回楽しみにしていたバンドのひとつ。私がこのバンドを知ったきっかけは、86年に松田優作が監督主演した映画「ア・ホーマンス」に石橋凌が出演したことだ。その後バンドは一時期活動を休止し、石橋は俳優として活動していた時期もあったのだが、数年前に活動再開。以降いつかはいつかはと思いつつ、やっとナマを拝めるときが来た。


現在のメンバー、オリジナルは石橋とドラムのキースのみで、ベースはなんと元ユニコーンのEBI。石橋は思ったよりも小柄で、そして細身だ。独特の太い声で歌い上げ、そしてオーディエンスの方に向かってにじり寄る。ドラムセットより少し手前に、石橋が蹴り上げるためだけのシンバルがあって、間奏のとき石橋は何度も蹴っていた(笑)。これ、お約束なのかな。活動再開後、若いファンが目立つようになり、それがバンド自身にとっても刺激になると、以前石橋が言っていたのを聞いたことがある。とすれば、洋邦は元より若手もベテランも重鎮も入り乱れ、自然の中で行われるフジロックもまた、彼らのロック魂を刺激したに違いない。





マーキーデーだったこの日の私だが、夕方になってやっとグリーンへ。ステージ前は前日の夕方と同様、いやそれ以上の人の多さだ。2日目は毎年動員が多いのだが、今年もそうだということを、このときに痛感。それは土曜日ということだけでなく、次に出演するバンドが欧米のフェスでは今やヘッドライナークラスである、コールドプレイだからだ。


ステージは、クリスが鍵盤を激しく叩く『Politik』でスタート。このバンド、CDで聴くとどの曲もおとなしいしっとりめの曲ばかりのような印象が残るのだが(そこに独自の美意識がうかがえて、魅力となっていると思うのだけど)。多くの曲では、オーディエンスはノるというよりかは見入るという状態になるのだが、しかしそれが間延びと感じさせない緊張感が走っているのだ。アレンジはCDよりも幾分かハードになっていて、それがポジティブなエネルギーとなり、更にはスケール感を増している。UKならともかく、アメリカでフェスのヘッドが務まるのかと疑問だったのだが、それは解けた。


コールドプレイは、第1回のサマーソニックにも出演していた。会場は大規模な野外フェスを行うにはあまりにも劣悪な富士急ハイランドで、しかもインドアステージは、狭いわ冷房は効いてないわで、もう大変だった。バンドは初日のインドアの方に出ていたのだが、私は入り口から入って行って、あまりの人の多さとむさくるしさと息苦しさに耐え切れず、結局彼らの姿を観ることなく退散していた。このときほんのわずかに漏れ聴こえてきた音が、私とコールドプレイとのファーストコンタクトだった。それが、今回は大きなステージで、バンドもそれに見劣りすることなくビッグになって、あれから3年が経ったんだなあと、少し懐かしく思った。

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(2003.9.14.)
















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