Fuji Rock Festival'03/Day 0 前夜祭(Counterfeit Beatles)







今年は梅雨明けが遅れ、そして開催中の現地も、予報は雨。過去、何度か雨や嵐に見舞われたフジロックを体験してはいるのだが、それでも正直言って気が重い。視界も足場も悪くなるし、日中から肌寒くなるし、座ったり寝そべったりということも、もちろんできない。ステージ間の移動も億劫になる。


昼過ぎにクルマで自宅を出発。関越道も途中までは好天で、こりゃもしかすると苗場も雨に降られずに済むのかな、なんて希望を抱いたのだが、関越トンネルを抜けたときはかなり深い霧になっていた。苗場に到着し、まずはホテルにチェックイン。ひと休みした後でポンチョを着、帽子をかぶって会場へ向かう。


チケットとリストバンドとの交換を、前日から受け付けるようになって3年目。これを活用する人も徐々に増えてきているようで、列に並んで待つこと約30分。ここで時刻が午後8時となり、前夜祭開始を告げる花火が上がる。去年はホテルに到着したときに花火が上がってしまったのだが、今年はなんとか拝めるか・・・と思ったら、そうはいかなかった。霧のため、花火が空ににじんだようにぼやけてしまったのだ。こんな年もあるか。





毎年色が変わるリストバンドだが(不正防止の意味合いもあると思う)、今年の3日通しは蛍光グリーンだった。これを腕につけてもらい、首から提げるプログラムをもらって、ゲートをくぐる。ショップエリア「オアシス」は、昨年同様既にそこそこにぎわっていた。まずは腹ごしらえにと、沖縄そばと韓国牛串を食べる。「名物」タイラーメンは、なぜかエリア内には見当たらなかった。


さて、レッドマーキーで行われる前夜祭だが、特にどうしても観たいというアーティストの名前が見当たらなかった。霧も深いことだし、今年は雰囲気をほんの少しだけ体感して引き上げかな、という考えもよぎったが、「Special Guest」という思わせぶりな(笑)掲示が気になって、それが誰なのかだけを見届けることにした。





マーキーの後方から中に入り、向かって右側の中盤辺りまで進む。そして時間になったのだが、登場したのはなんと日高社長。そして自ら「ロンドンから、ジョン、ポール、ジョージ アンド リンゴ!」と紹介したのだが、出てきたのはシルバーのスーツを着たマッシュルームヘアの4人組・・・。そう、彼らはビートルズのコピーバンド、カウンターフィット・ビートルズだった。


いきなり『She Loves You』『I Want To Hold Your Hand/抱きしめたい』の2連発で、場内は驚異的なノリに。なんだかんだ言いながら、ビートルズの曲って世代を超えてみんなが知っている曲ばかりだし、そして一緒に歌い、一緒に踊れる曲ばかりだ。私はステージ間近ではなかったので、4人の顔までが本物に似ているかは判別できなかったが、しかしポールの人がしっかり左利きだったのには恐れ入る。


衣装やヘアスタイルよろしく、曲は初期に絞って次々に演奏される。』『Please Please Me』『I Saw Her Standing There』『Money』『Twist And Shout』『Rock'n Roll Music』といった具合で、「フジロックマジック」が、早くも起こっていることを実感。ステージ上の彼らを観て、そしてノリにノッているオーディエンスを観て、私はとても嬉しくなった。そして思いを馳せた。ビートルズは、デビュー前はドイツハンブルグを回って鍛え上げていて、つまり初期は立派なライヴバンドだった。そのときのビートルズを目撃した日本人はほとんどいないはずだが、当時ハタチそこそこのジョンやポールのさまというのは、もしかしたらこんな具合ではなかったのだろうかと。





カウンターフィット・ビートルズは、フジロック期間中フル回転。アヴァロンフィールドにも出演し、3日目はマーダードールズがキャンセルになった枠の代打で、グリーンステージにもお目見えした(苗場食堂に飛び入りで演奏したという話も聞いた)。このときは4人ともミリタリースーツ姿で、つまりは『Sgt. Pepper's ~』以降の後期ナンバーが中心となった。こういうバンドをすんなり起用でき、またそのパフォーマンスに応えるファンがいるというのも、フジロックのいいところだ。


(2003.9.9.)
















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