Fuji Rock Festival'02 Day 3-Vol.6 Perry Farrell/Love Jets/インビシブルマンズデスベッド







レッド・マーキーは、日中から夜9時半頃まではライヴ第一部が行われ、そして夜11時から翌朝5時までは、要所にDJをはさんでのライヴ第二部が行われる。私がこの第二部に顔を出すのは、今回が初めてだ。時刻が深夜12時になろうとしているのに、人はいっこうに減る気配がなかった。3日目は特に人が多かったと感じているのだが、そのせいもあるのだろうか。


カール・デンソンズ・タイニー・ユニヴァースのライヴが、予定より少し時間押しして終了。そしてステージ少し手前の壇にはDJブースと機材が用意され、一方ステージの上では赤のツナギを着たスタッフたちが、ドラムセットやギターを用意していた。赤ツナギのスタッフは、どうやらラヴ・ジェッツ一派(笑)のようだ。





そしてDJブース前に姿を見せたのは、ペリー・ファレル。こざっぱりとした格好をし、紳士のたたずまい。意外なくらい細身で、身長もそんなに高くなさそうだ。数時間前のグリーン・ステージでのジェーンズ・アディクションのときは、フレディ・マーキュリーを思い起こさせる暴れようだったのだが、ここでは別人のように落ち着いている。デカいステージで距離を置いて観ているのと、密閉されたステージで近くで観ているという違いもあるのかもしれないけど。


さてDJプレイの方だが、ブース前には、サポートのスタッフと並んで立ち、2人でプレイを進める。かける曲は、曲というよりは重低音の連続で、次なるレコードを取り出してはターンテーブルに乗せ、だけど重低音路線は変わらない。そして小刻みに体を揺らし、時には両腕をゆっくりと回してリズムをとる。ジェーンズのライヴが観れたのも貴重なら、こんな飾らないペリーの姿を拝めたのも、貴重なことではなかっただろうか。

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そして時間はどんどんずれて行き、ラヴ・ジェッツが登場したのは2時過ぎ辺りだった。手と足が一緒になった歩き方をし、3人が縦1列になって登場。全員がギンギラのド派手な格好をし、首にはマフラーを、頭には重そうなヘルメットをかぶっている。そしてサポートがもうひとりいて、小さなテントの中に潜んでいた(この人も赤いツナギ姿で、そしてキーボードを弾いていた)。


まずは『Love Jetsのテーマ』『青い星』で蹴散らし、場内をあっためる。ヴォーカルのプラハは、宇宙人・・・というよりロボットが話すようなしゃべりかたでMC。星になったジョージ・ハリスンに挨拶してきたといい、オーディエンスのことは「チキュウ ノ ミナサン」と言う(笑)。ネタばらししてしまうと、プラハは忌野清志郎、ベースのパイロンはコーザ・ノストラのKANAME、ドラムのプリンシパルは、コレクターズの阿部耕作だ。なので歌やギターについては言うに及ばず、他の2人も凄腕で、一見色モノの企画バンドのように思われがちだが(いや、実際当人たちが狙っているのはそこなのかもしれないが)、演奏もしっかりしていて、安心して観ていられる。


プラハとパイロンが手にしているのは、逆フライングV型のギターにベース。そしてアンテナをにょきにょきと伸ばし、手を近づけると電子音が。テルミンだ!テルミンはドラムセットの前にも用意されていて、3人で奇妙な音を出しまくり。まるで、宇宙と交信しているかのようだ。そうして時間はみるみるうちに過ぎ去り、これでもうおしまいかなという雰囲気が漂う。


3人がステージ前に横一列に並び、プラハはチョキ、パイロンはグー、プリンシパルはパーにして腕を掲げ、やがてその手をひとつに集めてかざす。すると今度はひとさし指だけになって、集めてかざした手を離し、おのおのが高く掲げる。つまりこれは、あと1曲演るという合図なのだ。そうして始まったのは、『雨上がりの夜空に』!!しかも原曲よりもかなりアップテンポで、まるでハードロックバージョンのようなアレンジだ。サビでは場内も大合唱になって、大団円でライヴは終了。入場時と同じように、3人は縦一列になり、手と足が一緒になりながら歩いていって、ステージを後にした。





続いてのマーキーはDJプレイとなり、ステージバックのスクリーンには、「FUJI ROCK FESTIVAL'02」の文字が何度となく流れた。外に出ると、深夜の3時過ぎとは思えない人の多さで、そんな中私は今回何度目かになるタイラーメンを食べ、会場を後にした。これで今年のフジロックも無事に終わったな、前夜祭も含めてあっという間の4日間だったなと、いろいろと思い出し、そして喜びを噛み締めながら。



































しかし、これでまだ終わりではなかった。入場ゲートの外には巨大オブジェが立ち並ぶ"The Palace Of Wonder"があり、隣接する形でルーキー・アー・ゴー・ゴーというステージがあって、そこでライヴが行われていたのだ。バンドは、インビシブルマンズデスベッド。実は私は、彼らのライヴを既に一度観ている。フジテレビの音楽番組Factoryの収録に参加したときのことで、好き嫌いははっきりと分かれるだろうが、観た人の中に"何か"を残すバンドだと思った。彼らがフジロックに出演すると決まったとき、私は内心ニヤニヤしていたのだ。


ライヴは終盤に差し掛かっていたところで、例によってバンドはやりたい放題やっていた。マイクスタンドを使ってギターを弾くわ、ドラムセットは蹴散らすわ。ヴォーカルのデスベッドは、ステージを降りて柵を乗り越えようとするも、途中でやめてしまってオーディエンスににらみを利かしただけで、ステージ奥に引っ込んでいった。そして今度は脚立を抱えて出てきて、ステージ中央に立てかけようとする。だけどうまくいかないのかやはり途中でやめてしまって(笑)、ひとしきり踊ってステージを去っていった。このありさまを観て、ゴツい外人があきれたように笑っていたのが、私には印象的だった。





















































今年もありがとう、フジロック。




































そして、来年もまた会おう。




































(2002.8.14.)
















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