Fuji Rock Festival'02/Day 1-Vol.2 The Jeevas/忌野・泉谷・スパイスマーケット







実働約4年。残したアルバム2枚。その期間は決して長くはなく、その作品数は決して多くはない。しかし私は、90'sを代表するUKバンドのひとつとして、クーラ・シェイカーを挙げたい。彼らが生み出した一瞬一瞬には美しさと輝きがあったし、一握りのアーティストだけが到達した域に、足を踏み入れかけていたと思うからだ。そのクーラのフロントマンだったクリスミアン・ミルズだが、99年のクーラ解散後、ソロ活動を開始するとかしないとか、そんな噂が出ては消えという状態が続いていた。それが今年の春先になり、ジーヴァズという3ピースのバンドで本格的に始動。更にはフジロックで、早くも来日となった。


午後2時という最も気温の高い時間帯に、クリスピアンは分厚そうな革ジャンを着てステージに現われた。細身で華奢だが、その体を前後にくねらせるようにして発するギターの音は力強い。リリースされたばかりのシングル『One Louder』も早々に演り、クリスピアン名義ではなく、バンドというスタイルを取って私たちの前に帰って来てくれたということを強く打ち出しているように見える。だけど・・・、比べてはいけないのかもしれないが、クーラのときほどの輝きが発せられていない。オーソドックスなロックンロールのたたずまいはなんだか物足りず、これなんだという手ごたえがないというのが正直なところだ。


と、ここで聴き覚えのあるイントロが。『Greatful When Your Dead』!!雑誌のインタビューではクーラの曲も演るかもと匂わせてはいたものの、まさかこんなに早く放つとは思わなかった。そして先程までとは、明らかに場内の空気が違う。今ひとつ歯切れのよくないジーヴァズの曲に対して、この曲はなんとパワフルで、なんと輝いていることか。そしてクーラ時代の曲はこれだけに留まらない。ディープ・パープルでお馴染みの『Hush』、更に意表を突いたところでは、プロディジーの『Narayan』まで。これは『The Fat Of The Land』にクリスピアンがゲスト参加した曲なのだが、この日のグリーンのトリがプロディジーなのを、意識してのことなのだろうか。そしてラストは『Hey Dude』。ジーヴァズのライヴなのか、クーラのライヴなのか、わからないステージになってしまった。


クリスピアンが今再びアーティストとしての活動を再開したこと。思った以上に早くナマを拝めたこと。これらについては、素直に嬉しく思う。だけどこのときのライヴを観て思ったのは、クリスピアンは実はクーラを止めたくなかったんじゃないかな、もっと続けたかったんじゃないかな、ということだった。クーラのときに引き起こすことができたマジックは、悲しいかなジーヴァズではまだ引き起こせていない。ジーヴァズは仮の姿でしかなくて、実はクリスピアンは、クーラで遣り残したことにケリをつけたいのかもしれない。あるいは、ポール・ウェラーがソロとして再出発する前に行った、ジャム~スタイル・カウンシル時代の曲をごちゃまぜにして敢行したツアー"ムーヴメント"の時期(つまり過度期)にあるのだと、考えればいいのだろうか。

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ここで、グリーンステージから会場内の最も奥に位置するステージ、フィールド・オブ・ヘヴンに移動する。グリーンとホワイトを結ぶ林道には、昨年と同様子供が遊ぶためのスペース"Kids Land"があり、そして今年は富士岩石祭博物館(歴代フジロックの写真やグッズなどが展示され、映像が流れているブース)が隣接していた。ホワイト直前の川では、水浴びをする人がかなりいた。橋を渡り、ホワイトステージの脇を通過。こちらはブラッカリシャスのライヴの最中だった。私は前夜祭の前の日に横浜HMVのインストアライヴで少しだけ観たのだが、本番となるここフジロックでは、黒人ならではのリズム感を生かした、熱いステージを繰り広げていた。





今やフジロックの顔となりつつある忌野清志郎だが、今回は3日間をそれぞれ別のユニットで違うステージに出演するという、ユニークかつ"らしい"ことをやるそうだ(前夜祭にも、飛び入りしたのだそうだ)。初日は色々なアーティストと組んだユニット、忌野・泉谷・スパイスマーケットとして、ヘヴンに登場する。


第一声は泉谷しげるで、「バカヤローー」という期待を裏切らない、いやお約束のMC。清志郎はキーボードのところに陣取っている。こうして、まずは泉谷がフロントとなってライヴがスタート。フジロックは慣れたものという落ち着いた清志郎に対し、初参戦となる泉谷は、この空間、この空気をどう捉えたか。いや、どこへ行こうと誰と演ろうと泉谷は泉谷、「バカヤロー、暑いじゃねーかコノヤロー」と、あくまでマイペースという感じだった。ライヴはフロントが目まぐるしく変わり、ギターの三宅伸治がフロントになって歌ったり、紅一点の玲葉奈もパーカッションから転じてヴォーカルを務めたり、といった具合で次に何が飛び出すかわからない格好になった。


しかし、役者なのはやっぱり清志郎だ。「大ヒット曲を」と言い放って泉谷の『春夏秋冬』を原曲と異なるテンポで歌ってみたり、「HB♪、2B♪、2H♪(この後手拍子が入る)」なる愉快な曲を演ったり、ギターやキーボードのみならず、サックスやハーモニカを吹いたりと、変幻自在の活躍を見せる。清志郎って、何でもやるんだな。だけどそれが都合のいい便利屋さんではなく、アーティストの表現として成り立たせ、またオーディエンスを楽しませんとするサービス精神がにじみ出ている。この人はすごい。


(2002.8.5.)
















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