The Rolling Stones Discography　Videos

　『Sympathy For The Devil／悪魔を憐れむ歌』のレコーディング風景を追った映画。合間合間には、黒人活動家やヒトラーの「我が闘争」を読み上げる若者のシーンなどもあって、ストーンズ目当ての人には？？？となるかも。ともあれ、ミックが主導権を執り、キースが(ギターではなく)ベースを弾き、徐々に曲が出来上がって行くさまは、観ていてどきどきする。ブライアンも一応スタジオにいることはいるが、音楽的な貢献度はほとんどなさそうに見え、今後の彼の行く末を暗示している。

　ハイドパークで行われたフリーコンサートを収めた映像で、当初はミック･テイラー加入直後のお披露目ライヴの意味合いだったが、脱退したブライアンが2日前に亡くなり、急遽ブライアン追悼コンサートになった。前半こそリズムがまるで噛み合わずボロボロだが、それも演奏が続くに連れて徐々に引き締まってくる。長髪で色白のミックが、ステージに座りながらシャウトする姿はまぶしい。また当時ミックとは恋仲にあったと思われる、マリアンヌ･フェイスフルも登場。

　1969年のアメリカツアーを追った記録映画。ミックがウッドストックが映画化されるのを激しく意識しながら、撮影したと言われている。ハイライトはオルタモントで行われたフリーコンサートで、ストーンズ以外にもティナ･ターナーやジェファーソン･エアプレインなどが出演。日中から危ない雰囲気が漂い、客同士やあるいは客とヘルスエンジェルスとの争いが絶えない。そして夜になり、メインのストーンズのときに争いはピークに。何度も演奏が中断し、ここで「悲劇」が起こったとされている。

　1981年のツアーを収録した映画。リンクするライヴアルバム『Still Life』より収録曲も多く、断然お薦め。野外スタジアムでの公演を中心に、一部で屋内ライヴの映像を挿入し編集。当時のコンサートの様子が、ほぼ完全に近い形で楽しめる。風船を飛ばす演出をしたオープニング、サポートアクトを擁しての演奏、ステージを意欲的に歩き回るミック、ラストで打ち上げられる花火など、後のストーンズを始め、U2やエアロスミスなども行っている、スタジアムライヴの原点がここにあると思う。

　デビューから『Steel Wheels』までのキャリアを総括した、ヒストリービデオ。完奏している曲はほとんどないが、エド･サリバン･ショーで白目を剥きながら歌うミックなど、名場面は多い。映像は60'sのものが大半で、ミックが出演した映画、キース逮捕騒動の場面、ミックとキースのソロ作品の映像なども収録。そうした紆余曲折を経て到達した『Mixed Emotions』のレコーディングシーンは、観ていて感動的だ。メンバーのインタビューも多数収録。DVD化されていないのが残念だ。

　89年に復活を遂げ、ワールドツアーを敢行したストーンズ。90年の日本公演までは「Steel Wheels Tour」だったのが、続く初夏のヨーロッパからは「Urban Jungle Tour」と題され、ステージセットもシンプルに。中心の映像はロンドン公演だが、撮影用なのかセットは「Steel ～」のものに戻されている。収録時間が90分弱と、実際のライヴよりかなり短いのが残念だが、『Honky Tonk Women』での巨大風船女を始め、ライヴを追体験できる内容に。また、ビル･ワイマン在籍時としては、最後の映像にもなる。

　「Voodoo Lounge Tour」の初期である、ジャイアンツスタジアムの公演を収録した映像。序盤にドラマ仕立てのシーンが少しあるが、メインはもちろんライヴのシーン。ツアー中盤より会場で販売されるようになり、日本公演時にもグッズのひとつとして販売された(もちろん字幕なし)。

　94年のマイアミ公演映像。当時全米で生中継されたもので、テレビ用ということもあってなのか、選曲はこのときのツアー中でもかなり異色。『Angie』のアコースティックバージョンが披露された初の公演でもあったし、『Stop Breaking Down』ではロバート･クレイが、『Who Do You Love』ではボ･ディドリーがゲスト出演。ラストの『JJF』では、ホスト役だったウーピー･ゴールドバーグがコーラス参加(実際の公演では、『Live With Me』でシェリル･クロウも参加している)。

　95年3月12日の東京ドーム公演を収録した映像で、当時はNHK-BS2で放送。マイアミ公演が大幅に曲がカットされているのに対し、こちらはフル収録での商品化だ。ツアー表の顔の『Not Fade Away』、マイアミ以来となる『Sweet Virsinia』、『I Go Wild』でミックとダリルを含む4人がステージ前方に歩み出し、横並びでギターやベースを弾きまくるシーン、『Start Me Up』のイントロでの花火、ミックとリサ･フィッシャーとのデュエット『Monkey Man』など、見所を余すことなく収めている。

　68年12月にテレビ特番用に収録した映像／音なのだが(ビートルズの『Magical Mystery Tour』を意識か)、ラストに登場したストーンズの演奏の出来が今ひとつだったために(収録が長引いて客がダレたことも要因)、25年以上もおクラ入りとなっていた(同時にアルバムも復刻)。ロックとサーカスを融合させたショーというスタイルで、ストーンズ以外にもジェスロ･タルやザ･フー、エリック･クラプトンとジョン･レノン、キースらが組んだスーパーバンド「The Dirty Mac」などが出演している。

　97年12月のセントルイス公演を収めた映像。『Wild Horses』には、デイヴ･マシューズが参加。インターネット投票コーナーからは、『Waiting On A Friend』が。ハイライトはなんと言っても中盤で、メインステージから「ブリッジ」が伸び、メンバーがセンターステージで渡り、そこで演奏された『Like A Rolling Stone』。続く『Sympathy For The Devil』で、ミックが歌いながらメインステージに戻って行くシーンも圧巻。ストーンズが、今だ現役であり続けていることを強く印象づけたライヴだ。