Evil Empire

 Amazon.co.jpで購入(日本盤) Sales Date:1996.4.
Produce:Brendan O'brien
Amazon.co.jpで購入−日本盤/US盤/UK盤
1. People Of The Sun 7. Down Rodeo
2. Bulls On Parade 8. Without A Face
3. Vietnow 9. Wind Below
4. Revolver 10. Roll Right
5. Snakecharmer 11. Year Ot Tha Boomerang
6. Tire Me















レーガン元大統領は初めて公職に立候補したとき、当時はまだアメリカと冷戦状態にあったソ連を指して「邪悪な帝国」と言い、宣伝文句にした。では、その後のアメリカはどうなったか。軍事力が一層強固になり、それを盾に国家力を世界に対して誇示するようになった。そのアメリカこそが「邪悪な帝国」なのではないのかい?



衝撃のファーストアルバムから3年半の歳月を経て放たれた今作。ジャケットはスーパーマンのような格好をした爽やかな少年。その胸には「e」の文字が。言うまでもなく「Evil Empire」の頭文字の「e」だ。少年はアメリカを象徴し、爽やかに笑ってはいるがその内面には邪悪な心が潜んでいるということを暗示している。ファーストの僧侶焼身自殺写真はあまりにもストレートでセンセーショナルだったのに比べると、今作のジャケットは一見して違和感を覚える。しかしその根底にあるバンドのスタンスは少しも揺るがず、むしろより強靭になっているようだ。














こうしたバンドの政治的スタンスは、アルバムを通して、更には各地で行われた絨毯爆撃のようなライヴパフォーマンスの中で、徐々に世の中に浸透して行くことになる。その最たるものが93年のロラパルーザの出演。主催者が設定したバンドのTシャツの売り値が不当だとしてザックはステージ上から批判し、ファンには買うなと呼びかけた(その後Tシャツの値段は下がった)。



そしてロラパルーザのフィラデルフィア公演のこと。歌詞に対して検閲する団体PMRCに抗議するため、バンド全員がなんと全裸で登場。口にガムテープを貼り、胸にはPMRCの文字が。そのまま持ち時間である15分間、彼らは一切演奏をせずに立ち尽くし、そしてステージを去ったのだ。



もし私がライヴを観に行き、そこでバンドが演奏も何もしなかったとしたら・・・。そりゃ面白くない。そりゃ不満だ。来日決定が報じられたそのときから、ずっとずっと楽しみにしていたのに。チケットを握り締め、CDを何度も繰り返し聴きながら、この日が来るのをずっと心待ちにしていたのに。何のために手間ひまかけて会場までやってきたのか。ふざけんなバカヤロー。金返せバカヤロー。いや、金は返さなくてもいいからライヴやりやがれバカヤロー・・・というように、烈火の如く怒るに違いない。



しかし、これがレイジのライヴだったらどうだろうか。私が感じるであろうこの怒りは、そのまま彼らが表明している怒りに通じるのではないか。そう考えると、なぜか納得できる。納得させてくれるだけのものが彼らにはあるのだ(こんなこと書いちゃって、幕張でライヴやってくんなかったらどうしよう、という不安もちらほら/笑)。














レイジの魅力は何が何でもライヴにあり。しかし、今作はライヴ感を持ち込むことに成功しているし、メンバーそれぞれが発するパワー、織り成すコンビネーションが更に強固になっている。私はファーストアルバムのイメージをモノクロ画像のようなイメージと書いたが、このセカンドはまさに真っ赤なマグマのようだ。トム・モレロが繰り出す魔術のようなギターフレーズとザックの圧倒的なヴォーカルは、今作によっていよいよ確立されたと言ってもいいだろう。





























ファーストとセカンド、どちらのアルバムが優れているのか。というより、単純に私はどちらのアルバムがより好きなのだろうかということを、ある期間ずっと自問自答し続けていた時期があった。どちらも甲乙つけがたい圧倒的なエネルギーとインパクトを備えているし、傑作の名を冠しても申し分ない。どちらか1枚だけが傑作、代表作として話題にされてしまうのは少し面白くない気もする。



しかし、フジロックフェスティバル'97での彼らのパフォーマンスを実体験してしまった私にとっては、やはり本作の方がより思い出深いアルバムになっている。台風による暴雨に襲われた会場。今や本人たちにも再現不可能な過酷にして異様な状況の中、レイジのライヴは『People Of The Sun』で幕を開け、そのすぐ後に『Bulls On Parade』が続いた。日本のロックコンサート史に新たな1ページが刻まれた瞬間であり、同時にこの2曲は、毎日私が生活を送る中での私の心の中に響き渡るテーマ曲にもなっている。
















































Copyright©Flowers Of Romance, All Rights Reserved.