Paul Weller Discography　Compilation Album

　『As Is Now』からのシングルのカップリング曲や、ライヴ音源、リミックスバージョンなどを集約した、ジャパンオンリー盤。5曲は本国イギリスでも未CD化であり、またEP扱いながら、47分オーバーとオリジナルアルバムにも劣らないヴォリュームだ。地味で渋味の効いた曲が並び、熱心なファンにとってはウェラーの音楽性に一歩深く踏み込むにはもってこいの作品。DVDは、『Studio 150』『As Is Now』からシングルカットされた5曲のPVを収録している。

　ウェラー本人が選曲したというジャパンオンリーのコンピレーション盤で、シングルのカップリング曲や英国盤のみに入っていた曲などを収録。だが、たかが編集ものと侮る無かれ。『This Is No Time』『Everything Has A Price To Pay』はその当時のライヴでも重要なポジションを占めていた佳曲。『Feeling Alright』はトラフィックのカバーだ。これは後の『Stanley Road』でのスティーヴ･ウィンウッドと共演する布石なのか。そしてこのアルバム、現在は廃盤？

　ウェラーのソロキャリアを集約したベストアルバムだが、初心者はもちろん熱心なファンにもお薦めできる充実した1枚。『Brand New Start』は新曲で、この人がアーティストとして精神的な解放を果たしたことを感じさせる。ソロとしての最初のシングルだった『Into Tomorrow』が、ラストに収録されているのが興味深い。ここで紹介しているのは、98年のライヴがボーナスディスクとして添付された外盤の限定もの。

　サブタイトル通り、シングルのカップリング曲や未発表バージョン、未発表曲、ライヴ音源などで構成されたコンピ盤。インスト曲が結構多く、通常のアルバムの枠組みや自らのパブリックイメージから解き放たれ、自由に音楽を追求しているように伺えて興味深い。Disc 3には、カヴァー曲が集約。ニール･ヤングの『Ohio』、ボブ･ディランの『I Shall Be Released』、ジョン･レノンの『Instant Karma』、ビートルズの『Don't Let Me Down』など、偉大なる先人の曲を情感込めて歌っている。

　ポール･ウェラー名義になってはいるが、自身の曲はひとつもなく、収録曲は全て他人のもの。というのは、タイトルにある通りで、影響を受けた曲をこの人自らがセレクトしたのだ。そしてここに連なる面々は、50's～60'sのビッグネームが多く、またこれまでこの人のルーツとして語られることのなかったアーティストばかり。レゲエやジャズ、ブルース系のアーティストがほとんどで、ジャムの直系的な先人に位置すると言っていいキンクスが、逆に浮いているような印象を受ける。