ロックって何だ?サウンドか?テクニックか?見た目のカッコよさか?−確かにそれらは重要なファクターたりえるだろう。ただ私にとってはこれら以前にもっと大事なことがあって、それはその人の生きざまだ。音楽に賭ける情熱が魂からにじみ出ていると思える人なら、地獄の底までだって信じてついて行ける。私にとってのパティ・スミスとはそんな人であり、私が最も好きで最も重要な女性アーティストだ。
ミュージシャンとしてよりも詩人としての資質を打ち出したデビュー時は、テレヴィジョンと並ぶニューヨークパンクの旗手的存在だった。その後ロックアーティスト色を強めていくことになるが、MC5のフレッド"ソニック"スミスとの出会いがパティの運命を変えた。その全てをフレッドとの生活に捧げるため、80'sを目前にして彼女はミュージシャンとしての活動を止めた。
9年ぶりの便りには、妻になり母となった喜びがにじみ出ていた。がしかし、その後相次ぐ悲劇が彼女を襲った。最愛の夫、実の弟、心を許した友人、共に音楽活動に勤めたパートナーが、次々に帰らぬ人となった。なぜこうまで彼女は過酷な試練にさらされなければならなかったのか。そんな彼女を救ったのはやはり音楽であり、長年彼女を支え続けてきた盟友だった。
97年1月、パティはついに日本の地を踏んだ。彼女と同じ時間と空間を共有できたこと、自分の数メートル前に彼女がいたことが、今もって信じられない。「奇跡」ということばはこのときのためにあるのだと、私は思った。会場内に枚数限定で売られていたサイン入りのポスターは、私の宝物のひとつだ。
以後コンスタントに作品を発表し、精力的にツアー活動を続けている彼女。ニューヨークパンクの伝説の中に安住することなく、今なお前進を続ける彼女。細い腕を振り上げながらシャウトする彼女。そんな彼女に、もうすぐまた逢える。今度は野外ステージで。彼女のことをよく知る人も、そうでない人も、もしできるなら彼女の姿を見、彼女の声に触れてほしい。
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