Standing On The Shoulder Of Giants

Sales Date:
2000.2.23
1. Fuckin' In The Bushes 7. Where Did It All Go Wrong?
2. Go Let It Out 8. Sunday Morning Call
3. Who Feels Love? 9. I Can See A Liar
4. Put Yer Money Where Yer Wrong? 10. Roll It Over
5. Little James 11. Let's All Make Believe
(Japan Only Bonus Track)
6. Gas Panic!






はじめに


 ソニーミュージックのUKロックサイトflyingで、オアシスのニューアルバム発売に先駆けて全国6箇所にて先行試聴会を実施するという企画があった。同サイトのアンケートに応募し、先着で試聴会に当選するというシステムがとられる。私は運良く当選を果たし、2月7日(月)の夜、都内某オフィスに足を運んだ。

 会場は会議室のようなところで、巨大なスクリーンにオアシスのPVが流されている。この日会場に入ることができたのは計100人。全員に『Go Let It Out』のVideosとレジメが配布される。レジメには、オアシスがニューアルバムを完成させるに至るまでの過程、そしてノエルによる全曲解説が載せられている。もしかしたらこのレジメに書かれている内容は、そのままアルバムのライナーとして掲載されるかもしれない。







試聴会スタート


 ソニーミュージックの担当の方による司会で試聴会がスタート。このニューアルバムが全世界に先駆けて日本で発売されること、ワールドツアーのスタート地として日本が選ばれたことが改めて告げられる。PVの映像はそのままで、音量が消される。そしていよいよ『~Giants』の曲がかけられる。







1. Fuckin' In The Bushes


 まさに意表を突く、デジタルがかったサウンドでの幕開け。がちゃがちゃしたリズムのイントロが序盤を支配する。ノエル自身、アルバム全曲中最もラディカルだと語っている。ノエルはケミカルやゴールディーとも共演を果たしていることだし、意外には思わない。オアシス新機軸として、この路線でアルバム1枚作ってしまっても面白いと個人的には思うけど。





2. Go Let It Out


 ご存知先行シングル。dsのイントロが印象的だ。今までのオアシス節が炸裂していて、『Fuckin' ~』ではっとさせられた後だけに少しほっとするかも。PVでも確認できるが、ノエルはgではなくbを弾いている。ポール・マッカートニーを意識したようで、要はただ単に弾きたかっただけみたいだ(笑)。PVでは聴き取りにくかったが、後半はメロトロンのもの悲しい音色が響き、そしてこれが効果的である。





3. Who Feels Love?


 幻惑、幻想、トリップモードのイントロ。実験路線に走り始めたときのビートルズが思い浮かぶ。音が何重にも重なり、更にリアムの声が重なってくる。後半部の間奏が感動的で、なぜ『Live Forever』のときにコレ演ってくれなかったのか、という想いが募る。しかし、この壮大でダイナミックなたたずまい、『Be Here Now』を通過した成果ここにあり、と痛感する。個人的にかなり好きな曲だ。





4. Put Yer Money Where Yer Wrong?


 一聴して音程をハズしたかのようなリフ。しかし、これが不思議な味わいを感じさせる。曲全体としてはあまり印象に残らなかった。『Who Feels Love?』と次の『Little James』のつなぎに陥ってしまっているかも。しかし、それはこの2曲が際立っていることの裏返しなのか。





5. Little James


 オアシスの中でリアムが初めて書いた、パッツイとその前夫との間に生まれた愛息ジェームスに捧げた曲。静かで荘厳な面持ちの出だし。そしてこれが、ジョン・レノンの『Imagine』や、元プリンス『Emancipation』のディスク-2にも匹敵するくらいの普遍性を醸し出す。リアムも人の子。人の親となり人の優しさを知る、か。もしかしたらアルバムのハイライトかも。





6. Gas Panic!


 もの悲しい音色とねじれたリズムが交錯し、暗いイメージに受け取れる。がしかし、これがいつのまにか感動的なメロディに転じている。またも多重的なサウンド。そして壮大なる表現力を発揮する。まさに大作。





7. Where Did It All Go Wrong?


 ノエルがvoを取っている。曲のイメージは『Morning Glory?』の辺りに近い。ツアーを続けるうちにヴォーカリストとしても開眼し、歌い方に表現力が備わってきたノエル。となれば、タンバリンで脇に徹しているのはリアムなのか?





8. Sunday Morning Call


 引き続きノエルがvo。アコースティックギターのイントロで始まり、聴いていてちょっと切なくなってくる。壮大ながらも密閉感に溢れている感じ。ある特定の人のことを歌ったらしく、とすれば歌詞がポイントか?





9. I Can See A Liar


 ノイジーにうねるリフ。初期2枚のアルバムの頃のサウンドを彷彿とさせる。リアムのお気に入りで、自分で納得するまでやり直したとか。一方のノエルはピストルズを連想したらしい。全曲中、最も親しみやすい曲かも。





10. Roll It Over


 アルバムのラストを飾るゴスペル調の曲。この壮大さ(何度この単語を使っていることか)、この荘厳さ。『All Around The World』のパワーアップ版の様相を見せる。これがオアシスが未来へ突き進むべき道標となるのだろうか。





11. Let's All Make Believe


 日本盤オンリーのボーナストラック。一見地味で、シングルのカップリング用の曲に思えるが、シンプルなサウンドの中にリアムのハイパーなvoが際立っている。しかし、この曲で終わるのと『Roll It Over』で終わるのとでは、アルバムに対するイメージがまるで変わってくる。オアシス側がこの条件をほんとうに呑んだのか怪しい。







トータル


 短い曲は3分程度、長い曲は6分オーバーなのだが、どの曲も時間以上の長さ、そして重さを備えていて奥が深い。そのため1曲1曲がクライマックスに思えてくる。サウンドのベースは『Be Here Now』を継承しているが、それがより一層複雑に、より一層実験的になったように思え、個人的には非常に満足度が高い。


そしてもうひとつ気がついたこと。これまではビートルズ趣味丸出しだったのが、徐々にビートルズ的手法から脱却しているように思えてならない。いよいよオアシスが唯一無二の境地に到達するための階段に足をかけ始めたような、そんなぞくぞくするような期待感を抱かせる作品である。






















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