Led Zeppelin Ⅳ レッド・ツェッペリンⅣ

Sales Date:1971.11. 1. Black Dog 5. Misty Mountain Hop
Produce:Jimmy Page 2. Rock'n Roll 6. For Sticks
3. The Battle Of Evermore 7. Going To California
4. Stairway To Heaven 8. When The Levee Breaks






メディアには袋叩きにされ、『Ι』『Π』同様のスタイルを求めていたファンには拒絶され、と、『Ⅲ』には惨憺たる評価が下され、またセールス上でも伸び悩んだ。それを受けて、メンバーはどう動いたか。これが、ハード路線に軌道修正するどころか、『Ⅲ』で打ち出した新たなベクトルを一層推し進めたのである。




ジミー・ペイジには、長い曲を作るという構想があった。『Dazed And Confused/幻惑されて』はいくつものパートから成る組曲の様相を呈しているが、そのアイディアを更に具現化したということらしい。イントロはジミー・ペイジのアコースティック・ギターで始まり、この瞬間にもう名曲の予感が走る。更にジョン・ポール・ジョーンズの笛の音色がかぶさり、やがてロバート・プラントの静かな歌声へと繋がれる。




ロバート・プラントが書き上げた歌詞。「光るものが全て黄金だと信じ込んでいる少女(貴婦人という説もある)がいる~」という何やら神秘的な歌詞は、その奥底に2重3重の意味が含められている。全般に渡って穏やかで荘厳な雰囲気、曲調のままで時が刻まれるが、終盤にはドラマティックなジミー・ペイジのギターソロと(ライヴではギブソンのダブルネックで印象的なリフを弾き上げるが、レコーディングではジェフ・ベックからもらったというテレキャスターを使用した)、それに呼応するかのようにジョン・ボーナムのドラミングが炸裂し、最後にロバート・プラントの絶叫が追い討ちをかける。そしてラスト、消え入るようなつぶやきによって壮大なドラマが幕を閉じるのだ。





























To Be A Rock Not To Roll...































And She's Buying A Stairway...To Heaven...































『Whole Lotta Love』に代わる聖歌、『Stairway To Heaven/天国への階段』の誕生だ。





























この世紀の名曲が収められているだけでも『Ⅳ』は絶賛されて然るべきなのだが、もちろん他の曲群が駄作や穴埋めということはない。『Black Dog』はそれまでのハードさを更に進化させたナンバーだったし、『Rock'n Roll』は、『Communication Breakdown』に成り代わって以後のライヴのオープニングを務めることとなり、そのテイストは定番化して以降多くのミュージシャンにカバーされた。『The Battle Of Evermore』『Going To California』は、前作『Ⅲ』での新たなる挑戦が意味あるものだったことを早くも証明してみせた。





























アルバムジャケットも凝りに凝った。メンバーは、アルバムタイトルもレコード会社名もカタログナンバーも、更にはレッド・ツェッペリンの名前さえ記載しないという、ユニークなコンセプトを考えていた。インナースリーヴには『Stairway To Heaven/天国への階段』の歌詞を印刷するという試みも考えた。今では当たり前のことだが、当時としては画期的な試みだったらしい。メンバーが如何にこの曲に対して自信を持っていたかが計り知れるというものだ。ジミー・ペイジは、『Ⅲ』に集められた非難を許せなかった。その汚名を晴らすために、今度のアルバムは音楽のみで評価されることを望んだのだ。表ジャケットに選ばれたのは、薪を背負った老農夫がかがんでいる絵だった。ジャケットを開くと、ビルや家が立ち並ぶ中の崩れた壁に農夫の絵が貼り付いていることがわかる、という作りになっていた。インナーにはタロットカードの隠者が描かれていた。このジャケットは、世の中のありとあらゆるアルバムの中でベストだと思う。この時代、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのファーストやストーンズの『Sticky Fingers』など、手にする者を楽しませてくれるジャケットが多かった。









ツェッペリン側のアイディアに、アトランティック・レコードは反発した。しかし、このアイディアを受け入れない限りマスターテープは渡さないとツェッペリン側は言い張り、結局アトランティックは折れた。インナーにはメンバーの名前の代わりに4つのマークが記された。名前のないこのアルバムは"フォー・シンボルズ"や"ルーンド・アルバム"と呼ばれ、ジミー・ペイジのマークが"ZOSO"とも読めるために、"ゾソ"と呼ばれることもあった。今ではシンプルに『レッド・ツェッペリンⅣ』と呼ぶことに落ちついているようだが、当人たちが正確な呼び名を公表していないので、正式アルバム名は今もって謎のままである。














このアルバムが発表される2ヶ月前に、ツェッペリンは初来日公演を行っている。武道館で2回。大阪フェスティバルホールで2回。広島ではチャリティライヴも行い、その収益金を広島市に対して寄付した。メンバーは原爆ドームを訪れ、同じ人間が過去に犯した過ちを嘆き、祈りを捧げたという。ライヴでは、『Stairway To Heaven』を含む『Ⅳ』からの数曲が既に演奏された。今や伝説と化したライヴであり、日本のロックコンサート史に決定的な一撃を与えた瞬間である。












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