Houses Of The Holy 聖なる館

Sales Date:1973.3. 1. The Song Remains The Same 5. Dancing Days
Produce:Jimmy Page 2. The Rain Song 6. D'yer Mak'er
3. Over The Hills And Far Away 7. No Quater
4. The Crunge 8. The Ocean






前作『Ⅳ』で、レッドツェッペリンはハード・ロックという枠の中には押し込むことがもはや不可能な(というより無意味な)バンドになった。今までツェッペリンを叩きに叩いていたメディアも、『Stairway To Heaven』は好意的に受け止めた。この曲にはラジオでのリクエストが殺到し、レコード会社はシングルカットを強く望んだが、バンド側は「安売りはごめんだ」とそれを相手にしなかった。『Ⅳ』はツェッペリンの全アルバムの中で最も評価が高く、キャロル・キングの『Tapestry/つづれ折り』が1位を爆走していたがために最高位こそ2位止まりだったものの、こんにちに至るまで最も売れ続けているアルバムである。『Ⅳ』を生み出したことでレッド・ツェッペリンのバンドとしてのあり方、多次元的とも言える方向性が完成した。まさに黄金期突入である。




そして5枚目のアルバム制作へ。『The Song Remains The Same』は、『Dazed And Confused』や『Whole Lotta Love』、『Stairway To Heaven』と並ぶ、バンドの代表曲となった。ジミー・ペイジのギタリストとしてのアイディアが詰まっており、アルバムのトップを飾るに相応しいアップテンポのロックナンバーである。それと同時に多面的なドラマ性をも兼ね備えた、まさにツェッペリンにしか成し得ないサウンドなのだ。この曲は以後のライヴのトップも飾るようになる。




しかし、私が特に注目したいのは、これまで他の3人に比べて地味というのか、1歩引いて脇役に徹していたジョン・ポール・ジョーンズのシンセサイザーやピアノが前面に打ち出された『The Rain Song』『No Quater』の2曲である。 前者は『The Song Remains ~』の曲の流れをそのまま引き継いだ形になっていて、これがそのままライヴでも再現されるケースが多かった。『No Quater』は少し重苦しいメロディだが、天空から大地を見下ろすかのようなスケールの大きさを感じさせるナンバーである。両者共に、オーケストラのような雄大さ、豪華さを感じさせる。この2曲が本アルバムの両輪的役割を果たしていると感じるのは私の勝手な想いだろうか。




アルバムジャケットにはまたもや何のクレジットも記されていない。これは『Ⅳ』によって確立された彼らの自信が成せるワザなのか。当然アトランティックともめることになり(これで発売が遅れた)、結局ヨーロッパではレッド・ツェッペリンのバンド名とアルバム名を帯としてつけることで落ち着いた。ジャケットはデザイン集団「ヒプノシス」によって描かれた、全裸で金髪の子供たちが岩場を登っていくという、良くいえば幻想的、悪く言えばわけのわからない絵となった(これで話題になったのも確かだが)。




72年10月、ツェッペリンは2度目にして最後となる来日公演を果たしている。そのときのライヴのトップを飾ったのが『The Song Remains The Same』だった。この頃当然『Houses Of ~』はまだ発表前で、初のライヴ演奏の場として日本が選ばれたのだ。71年の衝撃の初来日公演といい、つくづく観に行った人たちがうらやましい。そういえば、96年にペイジ・プラントを観に行ったとき、私の隣に座っていた人は、武道館に来るのは72年のツェッペリン以来だ、なんて話していた。














94年の10月から半年間に渡って、CX系で毎週水曜日深夜にその名も「レッド・ツェッペリン」という30分番組が放送されていた。タワーレコードに無理やりツェッペリンコーナーを作ったり、当時隆盛を極めていたジュリアナ東京にラジカセを持ち込んでツェッペリンの曲を強引に流したり、というおちゃらけた企画から、ラウドネスの仁井原実が『Rock'n Roll』を歌ったり、71~72年来日時の担当ディレクターによる当時のウラ話があったり、という貴重なモノもあった。究極のツェッペリンコピーバンドであるCinnamonのメンバーから、毎週ツェッペリンの曲や演奏時のメンバーの仕草の解説などもあって、とっても楽しく観させていただいた記憶がある。その番組のオープニングが『The Song Remains The Same』、エンディングは『The Rain Song』だった。この番組の制作に携わった人は、もしかしたら『Houses Of ~』が最も気に入ったアルバムだったのだろうか。











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