孤高のギタリスト・・・というより、ギターと一体化した自然児、野生児なのだろう。
エリック・クラプトン、ジミー・ペイジと共に"3大ギタリスト"と称されたヤードバーズ時代でも、そのバンドとしての活動のピークは間違いなくベック在籍時であった。
それぞれ短命ではあったが、ジェフ・ベック・グループは間違いなくスーパーグループだった。ティム・ボガード、カーマイン・アピスと組んだトリオでは、後のヘヴィーメタルの原石を形作った。
しかし彼のギタリストとしての真骨頂は、やはりソロになってから発揮されたと思える。ギター・インスト・ロック、とでも言えばいいのか、それまでの誰もが成し得なかったジャンルを確立させてみせたのだ。
クラプトンやペイジに比べ、ベックは商業的成功という点では前の2人には遠く及ばない。及ばないというより、無造作に消費され、吐いて捨てられるように自分の音楽を扱われるのを拒否したのだろう。しかし、それでもこの人が後のロック界や若いミュージシャンに与えた影響の大きさは計り知れない。そして、現在でもベックは、その若いミュージシャンと対等に渡り合えるポテンシャルを内に秘めていると思えるのだ。
ジェフ・ベックのギタリストとしての凄さは、私なんかよりギターを自分で弾く人の方が身に染みてわかると思う。エレキギターは、もともと"女を抱く"イメージで作られたためにあのような形になっているそうだが(関係ないがコカコーラの瓶もそうだと聞いている)、クラプトンはギターを自らの相棒のように扱い、ペイジは全く独自のアイディアでギターを新たな道具へと変貌させているのに対し、ベックは昔も今もストレートに女を抱くようにギターを弾いているような気がする。そして、その音はいつも自由で、奔放で、気持ちがいい。支配することも支配されることも拒否した音のように聞こえる。
アルバム発表は相変わらずマイペースで、89年以来オリジナルの新作は世に出ていない。来日公演も89年以来果たしていない。しかし、ツアーで世界中をぐるぐる廻っているみたいだ。
来て欲しい。
再び日本の地を踏んでほしい。
あの音に吸い込まれたい。
そして、願わくばそれは富士を背に背負って感じたい。