Eric Clapton Discography　Compilation

　アメリカのエレクトラレーベルによるオムニバスもので、当時クラプトンはブルースブレイカーズ在籍中だった。メンバーを見てわかる通り、後のクリーム～ブラインド･フェイスの原石のようなラインナップ。ここでの収録は3曲で、いずれもブルース色が濃い。『Stepping Out』はブルースブレイカーズでもクリームでも演奏。同じく『Crossroads』はクリームでは看板曲のひとつとなっていて、それぞれを聴き比べてみると面白い。ポール･バターフィールド･ブルース･バンドの『Spoonful』は、かなりシンプルな出来になっている。

　これは69年12月にローリング･ストーンズがTV特番用に収録した映像／音なのだが、ラストに登場したストーンズの演奏の出来が今ひとつだったために25年以上もおクラ入りとなっていた(アルバムと同時に映像版も復刻)。ロックとサーカスを融合させたショーというスタイルで、ストーンズ以外にもジェスロ･タルやザ･フーなどが出演している。クラプトンの出演は覆面バンド"The Dirty Mac"としての2曲。演奏はジョンのヴォーカルが前面に出た形で、クラプトンはクリーム解散直後ということもあってか、リラックスしたプレイをみせている。しっかしこのメンバーって･･･。

　69年9月のロックンロール･リヴァイバル･フェスティバルのライヴレコーディング。即席バンドでほとんどぶっつけに近かったようだが、それもそのはず。時期としては、ジョンにとっては『Abbey Road』レコーディング終了直後に当たり、クラプトンにとってはブラインド･フェイス末期に当たるのだ。メインはやはりジョンの情念こもったヴォーカル(というより声)だが、ここでは2人のツインリードを推させていただく。ステレオでは、ジョンとクラプトンのギターが左右それぞれのスピーカーから流れるようになっているのだ。

　それまでブルースが音楽的趣向の中心だったクラプトンだが、徐々にアメリカ南部の音楽に引き寄せられて行く。きっかけはクリーム末期に聴いたザ･バンドの『Music From Big Pink』であり、決定打となったのは、ブラインド･フェイスのオープニングアクトとして一緒にツアーを続けていたデラニー＆ボニーの白人夫婦デュオだ。バンド解散後のクラプトンは彼らのツアーに同行。本作は69年12月のライヴを収録したものである。サウンドだけでなくソウル～ゴスペル調の夫婦のヴォーカルは、以降のクラプトンの音楽性に多大な影響を及ぼすことになる。