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椎名林檎と彼奴等と知る諸行無常@東京国際フォーラム ホールA

公開日: : 最終更新日:2023/05/10 ライヴ

椎名林檎と彼奴等と知る諸行無常@東京国際フォーラム ホールA

2月から始まったのツアー「彼奴等と知る諸行無常」も、残すところ東京2公演のみ。個人的には4月27日の神奈川県民ホール公演に続いての参加になる。

定刻から5分ほど経ったところで客電が落ちた。幕で覆われたステージは、中央から十字の隙間になっている状態。『あの世の門』でスタート。続く『我れは梔子』で幕が落ち、ステージがオープンになる。ピアノ林、アコーディオン佐藤、ベース鳥越の編成で演奏が始まり、間奏でギター名越とドラム石若が加わってフルバンドになる。

林檎はカーキ色の衣装にワッペンをつけたショルダーバッグを襷がけしていたが、『カリソメ乙女』でその衣装を脱ぎ、ピンクの衣装にニーハイブーツ姿になる。その後もヴェールを被ったり白黒のマントを羽織ったりと、ちょっとずつ見た目を変化させてくる。

映像では曲によってダンサーの踊りが組み込まれている。神奈川県民ホールでは、3階の最後列から数えた方が早い席で、上からステージを見下ろす格好だった。ステージ全体がよく見えたが、映像は映像として独立している感じだった。今回は1階中段の向かって右側になり、映像のダンサーがステージとシンクロして、その場で踊っているような臨場感が感じられた。

『天国へようこそ』はジャジーなアレンジで、ほとんど原形をとどめていなかった。『鶏と蛇と豚』はバンド演奏に林檎のSEを乗せる格好で、つまり林檎は衣装替えタイムだ。そして、林檎ひとりでのピアノ弾き語りの『同じ夜』を経て、『人生は夢だらけ』へ。林檎は金髪になっていて、ボクシンググローブをつけて熱唱。曲の締めくくりに右手をさっと上に掲げている姿がなんとも勇ましかった。

『公然の秘密』の後、ステージにどこでもドア?がお目見えし、ドア越しに林檎が衣装替え。ドアを開けた林檎はシルクのパジャマ姿で、『女の子は誰でも』を歌う。小道具の枕を抱えるなど、この辺りは少し演劇的要素が加わっている。

『いとをかし』でまたも衣装チェンジした林檎は、白いドレス姿で猫があしらわれた角隠しのような被り物をしていた。結構重そうだ。の『緑酒』からメドレーで『NIPPON』と、この流れは絶品だ。前半はデジタルミックスされた曲を、そしてこの終盤では「和」を感じさせてくれる曲で攻め立てる。特に『NIPPON』は、個人的には浜田省吾の『J.BOY』に並ぶ、日本人としてのアイデンティティーを強く感じさせ、奮い立たせてくれる曲だ。

アンコールではボディコン姿で、『母国情緒』からのスローナンバー『ありあまる富』。MCでは、今回のツアーのセットリストがかなり変則的だったことを認めるようなコメントがあり、次のツアーでは平常にしたいとも言っていた。

すべての演奏が終わり、全員がステージを後にした直後、ファミコンテイストの映像が始まる。本ツアーのテーマである「諸行無常」にかかるメッセージが出され、エンディングクレジットでは、バンドだけでなくスタッフ全員が紹介。特にスタッフについてはその場で見極めるのはちょっと厳しいが、ほとんどのアーティストはそもそもここまで追いついていない。これを毎回やっている林檎サイドの姿勢は、素晴らしいと思う。

セットリスト
1. あの世の門
2. 我れは梔子
3. どん底まで
4. カリソメ乙女
5. 走れゎナンバー
6. JLOO5便で
7. 青春の続き
8. 酒と下戸
9. 意識
10. 神様、仏様
11. TOKYO
12. 天国へようこそ
13. 鶏と蛇と豚
14. 同じ夜
15. 人生は夢だらけ
16. 仏だけ徒歩
17. 私は猫の目(新曲)
18. 公然の秘密
19. 女の子は誰でも
20. eternal flame
21. いろはにほへと
22. 命の息吹き
23. いとをかし
24. 長く短い祭
25. 緑酒
26. NIPPON
アンコール
27. 母国情緒
28. ありあまる富

明日の最終公演にはカメラが入るとのことなので、まず間違いなくDVDリリースされると思う。生での体験はもちろん貴重で得難いが、映像の記録は永遠に残るものとなり、数年後に観返したとき、あの日あのときあの場所に、自分がいたことを思い出させてくれる。リリースされるのを、今から楽しみにしている。

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