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デビルマン(マンガ原作)

公開日: : 最終更新日:2022/08/10 デビルマン , ,

デビルマン (豪華愛蔵版) 全5巻完結

かつて地球の先住民だったデーモンは、数百万年の眠りから覚めて人類から地球を奪い返そうとしていた。飛鳥了は父の研究からデーモンの存在を知り、親友の不動明にデーモンと合体して能力を取り入れ、デーモンと戦うことを持ちかける。明は勇者アモンと合体して意識を乗っ取り、悪魔人間「」としてデーモンと戦う。

魔王ゼノンは次々にデーモンを送り込み、デビルマンはことごとく倒していく。やがて、デーモンは人類に対し無差別合体の総攻撃を仕掛け、人類はいつ自分にデーモンが乗り移るかという恐怖でパニック状態に陥ってしまう。更に、科学者雷沼教授がデーモンの正体は人類が突然変異したと発表してしまい、中世の魔女狩りならぬ人間狩りが始まってしまう。

週刊少年マガジンに連載され、単行本にして5巻と、決して長編大作ではない。序盤は明がデビルマンになるまで、前半はデーモンとデビルマンとの戦いと、比較的オーソドックスな展開で描かれている。シレーヌとの死闘は前半のハイライトで、ガイムが自らの体を捧げてシレーヌと合体し、デビルマンも片腕を失い腹部を貫かれる大きな傷を負うなど、かなり追い詰められる。そしてシレーヌが勝利を確信したところで力尽きるという、劇的な幕切れになっている。

それが、中盤からは急激に全地球規模のスケールに拡大。デーモンの総攻撃が第一波、人間狩りが第二波で、壮絶さではむしろ第二波の方が過激になっている。明が身を寄せていた牧村家の人たちは、デーモンにではなく人間によって惨殺されてしまう。タレちゃんは首を落とされ、美樹は落とされた首が槍の先端に刺されて掲げられるという、ショッキングな描写が続く。今読み返しても衝撃的で、よくここまで描いたなと思わされる。

終盤は人類絶滅から20年後で、中国大陸に集結したデビルマン軍団と、サタン率いるデーモン軍団との最終戦争「アーマゲドン」になる。人類がとっくにいなくなった地球を描いていることに驚かされ、自然の摂理に逆らい続けてきた人類も、結局は無力だったと思わされる。ラストは、後年の永井豪のコメントによれば、実はもうひと段階あったらしい。が、今のラストが気に入っていて、新たに書き足すことは考えていないそうだ。エヴァンゲリオン旧劇場版のラストは本作ラストの流用であることを、庵野秀明は認める発言をしている。

ワタシが所持しているのは「愛蔵版」だ。実は、外伝的な『新デビルマン』という作品が本編完結後に発表されていて、それが「愛蔵版」には中盤を中心に組み込まれている。これを蛇足と見る論調もあるが、個人的には楽しく読んでいる。明と了がタイムスリップし、各時代の戦争の裏側にデーモンの存在があり、デビルマンが倒していくというものだ。画家志望の青年(後のアドルフ・ヒットラー)、ジャンヌ・ダルク、マリー・アントワネットたちに関わっていく(しかし、結局歴史そのものは変わっていない)。

2019年の年末にに旅行し、パリのルーヴル美術館を訪れた。サモトラケのニケの像を観たとき、その後に観たモナリザ以上に感動した(館内で最も混雑するのがモナリザのブース)。その感動の源は、『新デビルマン』でのサモトラケ島での戦いを読んだことだったのだ。

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