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ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(2018年)

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(2018年)

1971年。ベトナム戦争が激化する中、軍事アナリストのエルズバーグは現地に赴き、戦況調査した結果を機密文書「ペンタゴン・ペーパーズ」としてまとめていた。文書の内容はアメリカ(が肩入れする南ベトナム)が劣勢だったにもかかわらず、国防長官マクナマラはメディアに向けて自軍優勢と発表する。

ニューヨーク・タイムズがペンタゴン・ペーパーズの存在をスクープするが、政府は圧力をかけてくる。一方、文書の残りのコピーを入手したワシントン・ポストの編集長ベンは、社主のキャサリンに掲載の許可を迫る。政府がタイムズ紙に下した記事差し止めの流れから、掲載は法律違反になる。一方で真実を伝える報道の自由をベンは主張し、キャサリンは決断を迫られる。

実話を元にした脚本の映画化になり、中盤までは比較的地味な展開に。しかし、ワシントン・ポストの編集部にペンタゴン・ペーパーズのコピーが持ち込まれてからは、俄然緊迫感が増す。限られた時間の中、大量の文書を10人そこそこで読み、記事を作成する。

キャサリンは夫の死を受けて社主にはなったが、経営陣や株主には彼女をよく思わない面々もいて、実質お飾りの状態。彼女自身働いた経験もないまま家庭におさまっていたのを突然社主になり、お飾りを半ば受け入れていた。しかし、この局面にて自分が何をすべきかを考え、掲載にGOを出す。

監督は、。本作は「ミュンヘン」「リンカーン」などの流れを汲む、社会派作品だろう。キャストは、キャサリンに。周囲からリスペクトもされるが一部からは軽視もされているという、彼女にしては珍しい役どころになると思う。ベンはで、「ダ・ヴィンチ・コード」などのロバート・ラングドン・シリーズでの知的な学者のイメージとは異なる、熱血編集者をこなしている。

マクナマラは、ブルース・グリーンウッド。表向きは政府の意を汲んだ発言をしているものの、内心は憤っていてエルズバーグにペンタゴン・ペーパーズを作らせる。ワシントン・ポストの顧問弁護士のひとりがだと思って観ていたが別人で、ジェシー・プレモンスという人だった。ただ、調べてみるとマット・デイモンのそっくりさんとして知られているとのことだ。

ワシントン・ポストが記事を発表した後、政府との裁判になる。法廷に出向いて列に並ぶキャサリンを、政府側で働く女性が別の入り口があると言って誘導。彼女は、自分の立場ではほんとうは言うべきことではないと前置きしつつ、自分の兄はベトナムにいる。だから、必ず裁判に勝ってほしいとキャサリンに話す。いいシーンだ。

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