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デビルマン(実写映画:2004年)

公開日: : 最終更新日:2022/05/25 デビルマン

デビルマン(実写映画:2004年)

牧村家で暮らす高校生の不動明は、親友飛鳥了にデーモンの存在を知らされ、対抗しうる唯一の手段としてデーモンと合体。悪魔の体になりながら人間の心を持つ、となる。しかし、デーモンが徐々に人間界に紛れ込むようになり、中世の魔女狩りのように人間狩りが始まる。やがて、牧村家にも大勢の人が押し寄せてしまう。

傑作マンガ『デビルマン』を原作とする実写映画だが、今や駄作の代名詞のような存在になってしまっている。以前観たときには確かに衝撃を受けたが、今回改めて観る機会があり、自分なりに感想を整理する。

・主演ふたりの演技が酷すぎる
不動明に伊崎央登、飛鳥了に伊崎右典と、双子を起用したアイディアは悪くない。しかし、ふたりはほぼ演技経験がゼロだそうで、学芸会レベルの酷さだ。ふたりの実年齢も高校生と変わらないが、ときどき20代半ばの俳優が高校生を演じることがあるのに、納得させられる。

・序盤の学園ドラマは必要か
バッサリ落として構わないと思った。不良グループとの絡みなどを通して、明と了の関係性や牧村美樹の存在を明示させたかったのかもしれないが、うまくいっていない。いきなり明がデーモンと合体するところからスタートしても、よかったと思う。

・デビルマンとシレーヌとの戦いが消化不良
戦闘シーンは迫力を欠いていて、CGを導入しているのだから格闘に長けた代役を使ってよかったと思う。そして、決着が描写されていない。戦闘の途中で突然明が意識を失ってしまい、気がつくと戦いが終わってしまっている。シレーヌが、どのような最期を遂げたのかが不明だ。

・登場するデーモンの数が少ない
デーモンの存在や能力が如何に強大で、人間にとって恐ろしい存在なのかの描き方が足りない。デビルマンとデーモンとの戦闘は、もっと数を重ねるべき。その上で、ジンメンだけでなく、人間界に襲いかかる描写をもっと徹底しないと、その次の人間狩りにつながっていかない。

・ミーコとススムくんはそこまで重要か
デーモンと合体したミーコ、親がデーモンになったススムくんが、美樹以上にクローズアップされすぎているが、その必然性が感じられない。アーマゲドンの後にもふたりが生き残ってしまうって、どういうこと?ただ、ススムくんは染谷将太で、子役では断トツで上手かった。

・モブキャラが無駄に豪華
ボブ・サップ、小林幸子、鳥肌実、船木誠勝、KONISHIKI、フッくん(布川敏和)、的場浩司、嶋田久作、きたろう、大沢樹生などが、それぞれ少しずつ登場。ココにかけた資金を、CG制作の方に充てた方がよかったのでは。また、原作者永井豪は神父役で出演している。

・アーマゲドンが大幅にスケールダウン
地球の存亡を賭け、デーモンとデビルマンのどちらが生き残るかを賭けたはずの最終決戦「アーマゲドン」が、軍団規模の戦いではなく、デビルマン側は明ひとり。デーモンも大勢いるはずだが、ここではサタンとデビルマンの一騎討ちになっている。明と了の戦いに絞ったのかもしれないが、どう考えても不自然。壮絶さが、圧倒的に足りない。

総括すると、アーマゲドンおよびそこに至るまでの過程(つまり全編ということになってしまうが)をもっと丁寧に描いて欲しかった。原作では、シレーヌとの戦いで明は死にかけるギリギリまで追い込まれているし、後半の美樹の死は、平和の象徴がデーモンにではなく人間の手によって崩壊させられた瞬間だった。それらを徹底して描くことなくアーマゲドンを迎えたところで、重みもなければ説得力もない。観る人の心は、動かない。

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