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ジム・ジャームッシュ・レトロスペクティブで『ナイト・オン・ザ・プラネット』を観た

ナイト・オン・ザ・プラネット

ジム・ジャームッシュ監督作品を全国のミニシアターで上映するプロジェクト「・レトロスペクティブ」が、昨年から開催されている。自宅近くの映画館では『ナイト・オン・ザ・プラネット』が上映されていて、観に行ってきた(原題は『Night On Earth』だった)。

とある一夜の、ロサンゼルス、ニューヨーク、、ローマ、ヘルシンキ。タクシー運転手と乗客との、非日常とまではいかないがちょっと風変わりな人間模様が描かれる。

ロサンゼルス。若い女性運転手のコーキーは、映画キャスティング・ディレクターのヴィクトリアを乗せる。口が悪くチェーンスモーカーのコーキーだが、ヴィクトリアは彼女のキャラクターに興味を持つ。

ニューヨーク。寒い街角でヨーヨーが拾ったタクシーを運転していたのは、東ドイツから来たヘルムート。英語をろくに話せず、オートマ車の運転もままならないヘルムートを見かね、ヨーヨーは自分で運転し始める。

パリ。態度の悪い乗客を降ろしたコートジボワール出身のタクシー運転手は、その後盲人の女性を乗せる。気が強い彼女だったが、目が見えない代わりに聴覚をはじめとする感性が鋭く、運転手の所作を次々に指摘する。

ローマ。無線に向かってしゃべり続ける運転手のジーノは、神父を乗せる。車内はふたりだけだからと、ジーノは勝手に懺悔を始めるが、内容は猥談ばかり。神父は仕方なく話を聞くが、薬を飲もうとして落としてしまう。

ヘルシンキ。運転手のミカは、酔った3人組を乗せる。うちひとりが会社をクビになり、ローンを終えたばかりの愛車が被害に遭い、と、不幸話をミカに話す。しかし、ミカはそれを大きく上回る不幸を体験していた。

ワタシが見てわかったキャストは、コーキーのウィノナ・ライダー、パリ運転手のイザック・ド・バンコレ、盲人女性のベアトリス・ダル、ジーノのロベルト・ベニーニ。宣材写真は、タクシーを運転するウィノナ・ライダーだ。

ウィノナ・ライダーは、本作の前に『シザーハンズ』、後に『ドラキュラ』に出演していて、キャリアのピークのひとつを迎えていた時期と思う。イザック・ド・バンコレは、後に『リミッツ・オブ・コントロール』で殺し屋役で主演し堂々たる佇まいだったのを知っていて観ると、ここでは若さが目立つ。ロベルト・ベニーニは、『ダウン・バイ・ロー』然りお調子者キャラで、まるでイタリアの柳沢慎吾だ。

1991年公開で、30年という歳月はさすがに時代を感じさせる。ヴィクトリアが使っていた携帯電話は、当時としては最新機種と思われる。ニューヨークのタイムズスクエア近辺の看板には、マクセルやフジフィルムやTDKといった日本企業が目立った。個人的に初海外旅行でニューヨークに行ったが、それは同じく1991年だった。そのときは特に違和感を感じなかったが、今にしてみればすごい状況だったんだなと思ってしまう。

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