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マイ・インターン(2015年)

マイ・インターン(2015年)

ニューヨーク。妻に先立たれたベンは、老後の生活に寂しさを感じるようになっていた。短期間で急成長したファッション通販サイトが募集する、シニアインターン制度に応募したベンは、採用され女社長ジュールズ直属の配属となる。しかし、制度は社会貢献の一環として実施していて、ジュールズはベンをあてにしていなかった。

しかし、ベンは若い社員にビジネス面やそれ以外の面でもそれとなくアドバイスし、徐々に打ち解けていく。ジュールズがイライラしていた、荷物置き場と化したテーブルを一掃したことで、彼女もベンを気にかけるようになる。やがてベンは彼女の運転手にもなって送り迎えをするようになり、彼女の夫や娘とも心を通わせる。

ベンを、ジュールズを、会社専属のマッサージ師フィオナにはレネ・ルッソ。『プラダを着た悪魔』ではファッション雑誌編集長のアシスタントを演じていたアン・ハサウェイが、ファッション通販サイトの社長になっていることに、劇中の直接的なつながりはないにせよ、彼女の成長を感じてしまう。やり手だが突っ走りすぎて周囲がついて来れないという事態は、ベンチャーの経営者ならではと思う。

一方のデ・ニーロは、さすがと思わせてくれる。今回は、マフィアでも異常者でもない、70歳の老人役だ。紳士で、気が利き、面倒見がよく、自分の考えを押し付けることもせず、ユーモアもあり、一緒に悩み、そして言うべきことは言う。ジュールズが誤送信したメールを「回収」すべく若手社員と繰り出すさまは『オーシャンズ11』のノリで、マジメ一辺倒ではないキャラも覗かせる。そして、ちゃっかりフィオナとのロマンスまである。

劇中、ジュールズとベンが「サヨナラ」と挨拶するくだりが2回ある。突然の日本語だが、監督があたたかみのあることばとして言わせたとコメントしているらしく、これが定説のようだ。しかし、ワタシは別の仮説を立てている。ベンがFacebookページを開設するのをジュールズが手伝うくだりがあって、好きな俳優のひとりにベンはをあげ、彼女もそれに反応していた。ブランドは日本を舞台にした『SAYONARA』という映画に主演していたので、それに乗っかって「サヨナラ」ということばを使ったのではと思っている。

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