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ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(The Velvet Underground)の新ドキュメンタリーを観た

I'll Be Your Mirror: A Tribute to The Velvet Underground & Nico

アップルTVにて、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの映画が公開された。監督は、『アイム・ノット・ゼア』『ヴェルヴェット・ゴールドマイン』などを手掛けたトッド・ヘインズ。前記の作品では現実と夢想が交錯する風変わりな世界観を生み出しているが、今回はドキュメンタリーにつき、事実をもとに構成されている。

ルー・リードとジョン・ケイルの前半生から始まり、ケイルがウェールズを離れニューヨークに移ったことから、事態が少しずつ動き始める。2人の出会いにスターリング・モリソンとモーリン・タッカーが加わり、ヴェルヴェッツ結成となる。

当初は客の少ない中でライヴをしていたが、アンディ・ウォーホルの目にとまると、翌日から満員になったのだとか。やがてウォーホルは資金と場所を提供し、バンドはレコーディングを開始。ドイツ人女優のニコを連れてきて加えてほしいとバンドに依頼する。

約2時間の尺のうち1時間半をかけて、やっとファーストアルバムリリースとなる。セカンドアルバム以降は駆け足となり、93年の再結成やロックンロール・ホール・オブ・フェイム授賞には、全く触れられなかった。初期に重きが置かれる構成になるのは、予想してはいたが少し残念。セカンド以降にも、名曲はいっぱいあるのに。

ただそれでも、貴重な映像や音声が目白押しだ。前半はイメージ映像も多く、倒錯した性や実験アートの写真などが入り交じる。この映画のためにコメントする当事者は、ジョン・ケイルとモーリン・タッカー。そのほか、ルーの妹メリル、スターリング・モリソン夫人、ジョナサン・リッチマンなどが、コメントを寄せている。後期メンバーのダグ・ユールは、音声コメントがわずかにあったくらいだ。ルー・リードの音声が残っているのは、嬉しかった。

貴重な証言が、いくつも飛び出してくる。ボブ・ディランに対抗意識を燃やし、ライヴでは即興で歌詞を作り歌っていたとのこと。ウォーホルもニコも、ルーに夢中だったそうだ。ルーはある時期までゲイを公言していて、ほんとうにそうだったのかあるいはビジネス戦略としてなのかは、ここでもはっきりしなかった。

セカンドのときはルーとケイルの対立がひどく、どちらかがやめなくてはおさまらない空気だったとか。つまり、ルーの方が脱退していた可能性もあったわけだ。また、ウォーホルは去ったのではなく、ルーがクビにしたとのこと。ウォーホルは残念がっていたそうで、バンドとの関係を維持したかったと思われる。

終盤、80年代と思しき時期にルーとウォーホルが対話するシーンがある。ウォーホルはヴェルヴェッツ再編をそれとなく促し、ルーはケイルと連絡をとっていることを明かす(そしてウォーホルが亡くなり、ルーとケイルの共演を経て、再結成へとつながっていく)。ラストは、パリのバタクラーン劇場での、ルーとケイル、ニコが共演したときの映像だった。2015年にはテロによる悲惨な舞台になってしまったが、個人的にはこのときのライヴアルバムでバタクラーンの名を知っていた。映像があったこと自体驚きで、そして嬉しくなった。

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