*

クルエラ(ネタバレあり)

クルエラ(ネタバレあり)

1970年代のイギリス。生まれつき髪の色が白黒半々の少女エステラは、自己主張の強さゆえに学校では何度も問題を起こす。母と共にに行くが、ファッションイベントにて自身の行動が引き金となり、母は崖から転落死してしまう。

行く宛のないエステラは、スリの少年ジャスパー、ホーレスと生活を共にする。10年後、独学でデザインを学ぶエステラは、自身のアートが偶然カリスマデザイナーのバロネスの目に留まり、彼女のもとで働きはじめる。デザイナーとしての才能を開花させ、バロネスに認められていくエステラだが、2人の間にはある因縁があった。

おとなしい女性エステラと、暴れん坊のクルエラ。ロンドンに出るときの母との約束で、クルエラとしての振る舞いを封印したエステラだが、母が死の直前に話していたのがバロネスで、彼女が飼い犬に指示して母を突き落とした。エステラは、表向きバロネスの部下として働く一方、クルエラとして何度もエステラを挑発する。

前半はデザイナー志望の女性とカリスマとのつかず離れずの関係の描写になり、『プラダを着た悪魔』を彷彿とさせる。しかし、この状況がいつまでも続くことはなく、エステラがクルエラの人格を爆発させてからは、シリアスとコントとの間をぎりぎり攻めていく。

エステラは人格を器用に使い分け、クルエラを演じているように思われたが、ほんとうに二重人格なのではと感じさせる瞬間がある。しなやかな身のこなしに色気をにじませる振る舞いは、『バットマン・リターンズ』でが演じていたキャットウーマンを思い起こさせる。

エステラ/クルエラを、。彼女が出演している作品はいくつか観ているが、その中ではキャラクターとしては突き抜けている。クルエラになっているときの、何者をも恐れないふてぶてしさは、観ていて気持ちがよかった。

バロネスは、。『ハリー・ポッター』シリーズ然り、近年は主人公を支える大人の女性役のイメージだったが、ここでは権力も財も持ち、プライドが高い女性を演じている。性格はさておき、自らの力で欲しいものを手に入れてきたさまは、理想のビジネスパーソン像と思う。

バロネスの執事ジョンは、。個人的には、『シャーロック・ホームズ』のブラックウッド卿や『キックアス』のダミコといった、いわゆる悪役のイメージから入っていた。それが、『キングスマン』のマーリンのような主人公側の役も演じることがあり、本作も当初バロウズ側と思われたのが、実は重要な情報を握っていて、クルエラをサポートする「おいしい」役どころを担っている。

意外だったのが、ロックのテイストがふんだんに組み込まれていたことだ。クルエラのファッションがその代表だが、エステラが仲間に引き入れたアーティは、ゲリラ的に行ったイベントでの『I Wanna Be Your Dog』を歌っていた。BGMには、クラッシュらが流れた。『Whole Lotta Love』はカヴァーだったが、帰宅後に調べたらアイク&ティナ・ターナーだった。エンドロールで流れる主題歌は、フローレンス&ザ・マシーンだった。

クルエラは、そもそもは『101匹わんちゃん』のヴィランだ。エンドロールの途中に挿入された映像が、その前振りになっているようだ。

関連記事

くるみ割り人形と秘密の王国

くるみ割り人形と秘密の王国(ネタバレあり)

19世紀(と思われる)のロンドン。母を亡くし心を閉ざしていたクララは、母が残したクリスマスプ

記事を読む

シンデレラ(2015年)

ある裕福な家庭に生まれたエラは、両親の愛を受けて育つ。しかし母が病気で亡くなってしまい、父は

記事を読む

TOHOシネマズ日比谷プレミアムシアター

プーと大人になった僕(ネタバレあり)

クリストファー・ロビンは、子供の頃イギリスのサセックスでプーさんたちと楽しく遊んでいた。やが

記事を読む

美女と野獣

美女と野獣(ネタバレあり)

森の中の城に、若く凛々しいが傲慢な王子がいた。ある宴の最中に魔女が訪れ、ひと晩泊めてほしいと

記事を読む

  • 全て開く | 全て閉じる
PAGE TOP ↑