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イージーライダー(1969年)

イージーライダー(1969年)

コカインの密輸で大金を得たワイアットとビリーは、金をハーレーのタンクに隠してバイクでニューオーリンズを目指す。自由気ままな旅を続ける2人は、ドロップアウトした弁護士ハンセンのような友人もできるが、多くの人には偏見の目で見られ、拒絶に遭う。

そしてラストは、たまたますれ違っただけのトラックに乗っていた男に、ビリーがライフルで撃たれてしまう。ワイアットが仕返しを試みるも、やはりライフルで撃たれてバイクごと倒れるという、殺伐とした終焉を迎える。

キャストは、ワイアットをピーター・フォンダ、ビリーをデニス・ホッパーで、2人ともいかにもアウトローというワイルドないでたちだ。2人は制作も担当していて、デニス・ホッパーは監督もこなしている。ハンセンはが演じているのだが、ここではふつうの青年で、後の怪演ぶりを思い描くとかなり興味深い(そして、この作品のテーマでもあるような重いことばも発している)。ワイアット=ワイアット・アープ、ビリー=ビリー・ザ・キッドで、西部劇が母体になっているという解釈もあるらしく、西部劇映画を知って観ると、より楽しめるのかもしれない。

アメリカン・ニューシネマにカテゴライズされ、多くの作品がそうであるように、主人公は反体制、反権力の側にいる自由人だ。既存の枠にとらわれない生き方は観る側をスカッとさせるが、結局は体制や権力に屈してしまうという末路に至る。

この作品の場合、2人に対する明確な「敵役」というのはいないのだが、それだけに唐突に訪れるラストは衝撃的だ。若い頃の自分なら、なぜ突然こうなってしまう?という疑問から逃れられなさそうだが、今なら不思議と受け入れることができる。脱線すると、漫画『タイガーマスク』や邦画『野獣死すべし』のラストも、アメリカン・ニューシネマ的な描き方と考えれば合点がいく。

主題歌はステッペンウルフの『Bone To Be Wild(ワイルドで行こう)』で、他にもバーズやの曲などが劇中で流れ、ストーリー映画でありながら、音楽PV的な要素も備えているのが面白い。

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