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ニルヴァーナ(Nirvana)『With The Lights Out』

ニルヴァーナ(Nirvana)『With The Lights Out』

ニルヴァーナのボックスセットが、2004年11月にリリースされた。未発表音源満載の3枚組で、初回盤にはDVDも同梱されている。

曲はほぼ年代順に並べられていて、デビュー前の音源から始まり、メジャーデビュー、そして終末に向けてという、ニルヴァーナの足跡がたどれるような構成になっている。曲により極端に音が悪かったり、レベルの上下が激しかったりするものもあるが、あまり気にはならない。

音源は、デモテイクやライヴテイク、ラジオ番組出演時のものなど。圧倒的に多いのが、カートによるソロ・アコースティックだ。正規のアルバムには収録しにくいが、ファンにとっては聴きたい音源にはちがいなく、こうした形で世に出たのは歓迎する。

カヴァー曲にも注目。ディスク1の1曲目が、なんとレッド・ツェッペリンの『Heartbreaker』のカヴァー。これは完コピ志向だ。ツェッペリンは、他にも『Moby Dick』、それとDVDの方に『The Immigrant Song』のカヴァーが収録。他には、ブルースの巨人レッドベリーのカヴァーなどもある。

DVD映像は更に貴重だ。1987年のクリス・ノヴォゼリックの母の自宅でのリハーサルに始まり、ライヴハウスやホテルでのパフォーマンスなどが収録。1989年6月のロサンゼルスのレコードショップでの演奏は、『Bleach』リリース直後のタイミングになる。そしてこのライヴには、セカンドギタリストがいた。1991年4月の『Smells Like Teens Spirit』は初演奏になり、レコーディングに先んじている。

ニルヴァーナの前期はドラマーが安定しなかったが、デイル・クローヴァーやチャド・チャニングが参加した映像もあり、デイヴ・グロールがはじめてライヴ参加した1990年10月の映像もあった。ラストの『Seasons In The Sun(そよ風のバラード)』は、テリー・ジャックスによる1974年ヒット曲のカヴァーで、ブラジルはリオのスタジオで収録。カートがドラム、クリスがギター、デイヴがベースというシャッフル編成で、肩の力が抜けてリラックスした演奏になっている。

ブックレットには詳細なヒストリーが記されていて、バンドの歩みを辿ることができる(しかし、1992年2月の来日公演は黙殺されている)。サーストン・ムーアによるライナーノーツもあり、ソニック・ユースがニルヴァーナと一緒にツアーをしたときのことなどを語っている。

2002年にベストアルバムが出て、完全未発表曲『You Know You’re Right』を聴いたとき、以降ニルヴァーナに関する音源は世に出ないのではと思っていた。のだが、その2年後にこれだけのヴォリュームを手にできたというのは、とても嬉しい。本作は決して初心者向けではないが、ニルヴァーナと共に時代を過ごしたファンにとっては、感慨深い作品になると思う。

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