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ノッティングヒルの洋菓子店(ネタバレあり)

公開日: : 最終更新日:2022/07/09 ヨーロッパ映画

ノッティングヒルの洋菓子店(ネタバレあり)

共同経営でのノッティングヒルにベーカリーの開店準備をしていた、サラとイザベラ。しかしサラが突然亡くなってしまい、予定していた融資は打ち切られる。サラを失った悲しみもあり、イザベラは開店断念を考える。

同じく悲しみに打ちひしがれている、サラの娘クラリッサ。恋人と別れ、所属していたバレエ団も抜けてしまい、祖母(つまりサラの母)ミミを頼る。クラリッサは、ミミとイザベラにベーカリーを開く準備をするよう働きかける。サラおよびイザベラと友人のシェフのマシューも加わり、ベーカリーはオープンにこぎつける。

冒頭はテムズ川沿いをサラが自転車で走るシーンだが、その直後に上記の状態になり、一転して重苦しい雰囲気になってしまう。イザベラはサラなくして開店は難しいと考え、ミミは出資を渋っていた。仕事をして生活することの厳しさを知っている大人の反応だが、クラリッサはその厳しさを知らないことを逆に強みにし、2人をけしかける。

ミミはサラと仲違いしていたことを後悔していて、マシューはサラと付き合っていたことがあった(つまりクラリッサとは親子かも、と互いに思っている)。イザベラは当初経営に専念する予定だったが、自らも調理場に立つことに。いくつもの人間模様が、交錯している。

開店後しばらくは集客に悩むが、ロンドンには多くの国から人が集まっているのに、彼らの故郷の味は手に入りにくいことにミミが気づき、それを突破口と考える。欧米、アフリカ、さまざまな国の人の話を聞き、試食し、その味を作り出す。日本人女性のリクエストもあり、抹茶ミルクレープケーキを作っている。

今の時代なら、集客にネットやSNSを活用するのは当たり前だが、そのような描写は1回に留めている。ハイテクを駆使するよりも、人と人とのつながりやふれあいによって少しずつ軌道に乗っていくように描いていて、それは正しいと思う。

個人的には、以前ロンドンに旅行した際、ノッティングヒルにも立ち寄ったことがあった。なので、劇中にて薄いピンクやブルーに彩られた住宅の並びや、ポートベロー通りに広がるマーケットなど、見覚えのある光景がスクリーンに広がるにつけ、テンションが上がった。「ノッティングヒルの恋人」に続き、本作は、同地を特別な地にしてくれる作品になるだろう。原題は「LOVE SARAH」で、クラリッサが考えた店名だ。

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