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ルー・リード(Lou Reed)『New York(Deluxe Edition)』

公開日: : 最終更新日:2020/11/05 Lou Reed/The Velvet Underground ,

ルー・リード(Lou Reed)『New York(Deluxe Edition)』

ルー・リードの代表作のひとつ、『New York』のデラックスエディションがリリースされた。CD3枚組、DVD、アナログ(プレーヤー持ってないので聴けず)という内容だ。

まずはCD。ディスク1はオリジナルアルバムのリマスターで、当然ながら音質が格段に向上している。ディスク2は、アルバム全曲のライブ音源を、曲順もそのままに配置。単一の公演ではなく各所の収録音源を集めているのは、DVDとの区別と思われ、嬉しい配慮だ。曲によってはルーのMCも入っていて、ライブならではの生々しさが凝縮されている。

ディスク3は、デモテイクや未発表音源集だ。ギターとルーのヴォーカルのみのシンプルなテイク、完成版とは異なるアコースティックバージョンなど、曲ができあがっていく過程を垣間見ることができる。更には、完全未発表曲のインスト『The Room』、そしてルーの名刺的な2曲『Sweet Jane』『Walk On The Wild Side』のライブ音源が収められている。

DVDは、アルバムのオーディオ、ルー自身によるコメンタリーもあるが、目玉はやはり、かつてVHSやレーザーディスクでリリースされていたライブ映像だ。このときのルーは、ツアーでアルバムの全曲演奏をおこなっていて、そのうちのカナダ公演を収録。21世紀には全曲演奏はひとつのトレンドになったが、89年当時ではチャレンジだったと思われる。

ステージは、ニューヨークを思わせる街並みのシンプルなセットがバックにあるのみ。演奏も、カメラワークも、共にシンプルだ。スイッチングは最小限に留められ、最近の目まぐるしく画面が移り変わることをうざく思う身としては、嬉しいことだ。1曲1曲を取り出せば、決してライブ向けとは思えない地味な曲もある。しかし、通しで演奏されることにより、ひとつの物語を観ている気持ちにさせられる。

ブックレットには、音楽評論家による解説のほか、制作当時の模様のコメントもある。基本的に収録曲順にレコーディングされたとか、ジョン・ケイルとのコラボアルバム『Songs For Dollera』も並行して制作していたとか、なかなか興味深いエピソードだ。

ラストの『Dime Store Mystery』は、87年に亡くなったアンディ・ウォーホルに捧げられた。また、モーリン・タッカーが2曲でドラムを叩いている(言及はないが、88年にはニコも亡くなっている)。80年代の終わりにきてヴェルヴェット・アンダーグラウンド人脈との交流が復活し、それが93年の再結成にもつながっていく。このアルバムは、そのマイルストーンにもなっていた。

個人的には、『Magic And Loss』以降はリアルタイムで、92年以降の来日公演は欠かしていない。『New York』は最初に聴いたルーのアルバムだが、リリースから2年ほど遅れた。それ以前のキャリアについても後追いで聴き、このアルバムはルー自身にとって何度目かのターニングポイントにあたる作品なのだと感じた。ルーのアーカイブ第1弾にはうってつけで、また、今後のシリーズ化にも期待している。

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