タイム(2011年)
近未来。遺伝子操作により長寿が可能になった人類は、25歳以降は労働により稼いだ時間を通貨としていた。貧困層は日々を生き抜く時間を稼ぐのが精一杯で、一方富裕層は平気で100年以上生きている。スラム街に住むウィルは、ふとしたきっかけで100年以上の時間を手に入れるが、一方で時間の切れた母を失う。ウィルはスラム街を出てニューグリニッジ(富裕ゾーン)に向かい、そこで富豪の娘シルヴィアと知り合う。
劇場で観た作品だが、その前に予告編を何度も見かけていた。時間が通貨になるという仕組みの詳細は伏せられていて、本編を観たことでやっとわかった。人々の左腕にグリーンの数値で自分の持ち時間が浮かんでいて、これがその人の寿命になる。労働で時間を増やすことができ、支払いにより時間は減る。人と人とで時間を分け合うことも可能(奪うことも可能)。
遺伝子工学的には未来だが、生活はほぼワタシたちの現代と同等。よってCGが駆使されることはほとんどなく、洗練された世界観よりも、むしろ生々しい泥臭さのイメージがある。ウィルはなぜ世の中の仕組みがこうなったかを知り、シルヴィアと共に銀行を襲っては時間を人々に分け与える。映画評で、「ボニー&クライド」と称されたのに納得だ。
ラストにも納得している。ボニー&クライドは警官の銃弾を浴びて最期を遂げるが、さすがに今どきのハリウッド映画で2人が死ぬことはないだろうと思っていたし、たかが男女2人が社会の仕組みそのものをひっくり返すのも安易すぎる。体制に向かうところで終わり、続編を作ろうと思えば作れるし、このまま終わってもアリと思わせる。
ウィルはジャスティン・ティンバーレイク、シルヴィアはアマンダ・サイフリッドという人。2人の前にことごとく立ちはだかる時間監視局のレオンは、「インセプション」などに出ているキリアン・マーフィだ。ジャスティンは「ソーシャル・ネットワーク」でも観ているが、シンガー出身と思わせない、役に溶け込んだ演技をしている。アマンダは、おかっぱの神田うのに見えてしまった(笑)。監督は、「ロード・オブ・ウォー」のアンドリュー・ニコルだった。
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