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「インターステラー」をIMAXで観た

インターステラーIMAX

クリストファー・ノーラン監督の最新作「テネット」公開にリンクした企画で、「ダークナイト」「インセプション」に続き、「インターステラー」をIMAXで観た。

近未来の地球は荒廃し、食糧難に見舞われていた。表向き解散していたNASAは、秘密裏に活動を続け、人類が移住できる可能性のある惑星を探していた。元パイロットのクーパーは、家族に必ず帰ると約束し、科学者たちと共に宇宙船に搭乗して地球を後にする。

壮大なスケールとテーマで、上映時間も2時間49分という大作だ。観るのは2014年の公開時に劇場で観て以来だが、ある程度ストーリーを知っていると、序盤の地球上でのシーンがあれもこれも伏線だらけというのがわかり、にやにやしてしまう。代表格はマーフの部屋のシーンだが、老人や老婦のインタビューも、クーパーが家族で野球の試合を見に行っていることもだ。

キャストは、クーパーをマシュー・マコノヒー、ブランド博士をアン・ハサウェイ、マン博士はマット・デイモン、ブランド教授(博士の父)はノーラン作品では常連のマイケル・ケイン、クーパーの娘マーフはジェシカ・チャスティン。この辺りまでは、最初に観たときから認識していた。2020年の今観て感慨を覚えるのが、その後活躍している面々が実は出演していたことだ。マーフの幼少期はマッケンジー・フォイだが、彼女は後に「くるみ割り人形と秘密の王国」で主人公クララを演じている。マーフの兄トムはケイシー・アフレックで、その幼少期はなんとティモシー・シャラメだった。

IMAXによる映像の増幅は、特に地球を出て以降に発揮される。宇宙船の船内ではクーパーらがセッティングしていて音がするのだが、その後数秒だけ船外の映像が流れるのだがココが無音、を何度か繰り返す。一見何気ないシーンだが、宇宙空間の緻密さと美しさを突きつけられる思いだ。ワームホールを通過するシーンは、「スター・ウォーズ」のミレニアムファルコンのハイパードライブや、「2001年宇宙の旅」で光の洪水の中を突き進むシーンを凌駕する。最初に到達した水の惑星での大波、2度目に到達した氷の惑星での、荒涼とした大地と天空にまでそびえる氷の塊も素晴らしい。

最たるは、クライマックスシーンだ。氷の惑星も結局移住には適さず、クーパーは宇宙船の残りの燃料を計算してブランドを第3の惑星に向かわせ、自身は切り離した小型船でブラックホールの中に身を投じる。まずは、ブラックホールを黒い巨大な球体として映像化したことに度肝を抜かれる。そして、ブラックホールの中でクーパーは時空を超越した空間(劇中では5次元と呼んでいた)に放り込まれる。この空間は直線的に描かれていて、クーパーはマーフの部屋の本棚の裏側であることに気づく。この空間は上下左右に無数に広がっていて、時間軸が物理的に存在しているさまを表現しているのだ。ふつうに観ても度肝を抜かれるシーンだが、IMAXにより更にスケールアップした。

今回観て気づいたことは、必ずしもハイテクや未来的・宇宙的な描写だけでなく、伝統的な描写が見られることだ。計画のリーダーだったブランド教授は、「穏やかな夜に身を任せるな」という詩を何度も引用するが、これはディラン・トマスの詩だそうだ。成長し科学者になったマーフが、父が5次元を通じて託してくれたヒントをもとに重力の謎を解明したときに「ユリイカ!!」と叫んで書類をばらまいたが、これはアルキメデスが浮力を発見したときに叫んだことばになる。「わかった!!」という意味だそうだ。

2014年公開時には明かされず、現在はオープンになっている情報を知っていて観た楽しさもある。CGは実写の補完にとどめるべきというノーランのスタンスは今や有名で、「ダークナイト」では実際に病院を爆破し、「インセプション」では回転するホテルの部屋をセットで表現した。そして本作だが、クーパーが所持していたトウモロコシ畑は、先んじて実際に種が植えられ、撮影時には見事に成長した畑になったそうだ。挙げ句、撮影後は収穫して利益まであげてしまったとか。5次元のシーンは、これこそCGだろうと思いきや、インスタレーションで表現する中にクーパーの宇宙服を投じて撮影したとのこと。

「テネット」は勿論楽しみだし観に行く予定だが、過去の傑作群に並ぶに足る出来なのだろうかという不安がよぎってしまう。

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