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Dr.パルナサスの鏡(2009年)

Dr.パルナサスの鏡(2009年)

パルナサス博士一座の出し物は、客の想像力を喚起して、鏡の向こうの世界で具現化させるというものだった。しかし博士は、娘が16歳になったら悪魔に差し出すという取引をしていた。悪魔は、鏡の中の世界で客が先に5人「入った」方が勝ちというゲームを博士に持ちかけ、博士が勝てば娘の件はなかったことにするという。博士は、死にかけていたところを助けた青年トニーを一座に加え、最後の賭けに出る。

なんと言っても話題なのは、この作品がトニーを演じたヒース・レジャーの遺作になったことだ。撮影中に急逝してしまったため、制作中断かと思われたところ、3人の俳優が代役を務めて撮影を完了。4人1役という、かなり特異な形で仕上がった。

しかし、ヒ-ス以外の3人が登場するのは鏡の中のシーンで、ツギハギ感はなくうまくまとまっている。そしてその3人とは、、コリン・ファレルだ。トム・クルーズも名乗り出たが実現しなかったというエピソードがあるが、この作風ではトム・クルーズには合わないかなと思うし、キャラクターが突出しすぎていてバランスも取れなくなる気がする。さてヒースだが、20代で亡くなったが、堂々たる、そして時にはふてぶてしくも見える演技は、やはり素晴らしい。一座の座長であるパルナサス博士は、クリストファー・プラマーが演じている。

監督は、テリー・ギリアム。この人が今までに手掛けた作品に通ずる、摩訶不思議な世界観は健在だ。ファンタジックでありながらブラックな要素もあって、鏡の中の世界がまさにそれである。ストーリー的には必ずしもハッピーエンドには終わらないのも、この人らしい。モンティ・パイソン出身という枕詞があるが、ワタシは観たことがなくて、いつかはとも思っている。

個人的に、その怪演ぶりが際立ったと思うのが、悪魔役のトム・ウェイツ。ミュージシャンとして数多くの渋さと味わいのある作品を輩出し続けているのみならず、俳優としてもジム・ジャームッシュ作品などに出演している。ここではかなりの老けメイクで、顔を観ただけではトム・ウェイツだと判別するのはちょっと難しい。ラストでの博士とのやり取りが、また小粋である。

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