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マニック・ストリート・プリーチャーズ(Manic Street Preachers)@Zepp Divercity

公開日: : 最終更新日:2023/10/15 Manic Street Preachers

マニック・ストリート・プリーチャーズ(Manic Street Preachers)@Zepp Divercity

1998年にリリースした5枚目のアルバム『This Is My Truth Tell Me Yours』の20周年アニヴァーサリーツアーを昨年から行っているだが、今年になって来日も実現。個人的には、前回の『Everything Must Go』アニヴァーサリーツアーをスルーしていたので、2015年サマソニ以来のマニックスになる。

アジカンのライブの後、約35分のセットチェンジを経て、20時過ぎに客電が落ちた。SEがひとしきり響いた後に、メンバー登場。オープニングは『This Is ~』のトップでもある『Everlasting』だ。これは当然といえば当然なのだが、個人的には面食らった。というのは、来日前の各所のセットリストでは『Motorcycle Emptiness』のオープニングが大半だったからだ。

メンバーは、全員黒を基調としたいでたち。正面にジェームス・ディーン・ブラッドフィールド。向かって右にニッキー・ワイヤー。トレードマークとも言える、デコレーションされたマイクスタンドが今回はなく、通常のスタンドだ。ジェームスの真後ろが、ショーン・ムーア。常時白く細い棒状の何かを口にくわえていた。向かって左には、サポートのギターとキーボードの2人が陣取っている。

演奏は、ほぼ『This Is ~』の収録順に進む。「ほぼ」というのは、完全同一ではないということ。ジェームスは頻繁にギターを交換。4~5本は使っていただろうか。サポートはほとんどがアコギによるリズムセクションで、リードの大半はジェームスが担っている。サポートを入れるようになってからでも、軸は自分にあることを示している。リードヴォーカルもやっているのに、だ。部分部分でキーを下げてはいたものの、声質自体は以前と変わっていない。

ショーンは上腕の太さが際立っていて、この人ここまでマッチョだったかなと少しびっくり。トレードマークとも言える黒手袋を、今回もつけていた。ジェームスとショーンは、見た目少し老けたかなあと思う。対して、ニッキーは以前とほぼ変わらぬイメージで、長身から打ち降ろすようなプレイ、そして大股でステージ上を歩き回るさまは健在だ。

個人的に、マニックスのベストアルバムはと聞かれると、結構迷う。研ぎ澄まされたサード『The Holy Bible』かもしれないし、起死回生の『Everything Must Go』かもしれないし、なかなか結論を出しにくい。しかし、最も思い入れのあるアルバムとなれば、迷わず『This Is ~』だ。なぜなら、95年来日公演のチケットを持っていながら中止になってしまい、ワタシがはじめてマニックスを観たのが99年2月で、このアルバムのツアーだったからだ。

全体的に静かなトーンで、初期の荒々しさや『Everything ~』のフレンドリー感もない、一見地味なアルバムだ。なので、このアルバムのアニヴァーサリーツアーをやると聞いたとき、正直かなり意外に思った。もちろんシングルカットされた曲はツアーで演奏されているが、後半の曲などはライブの場で披露されるのはかなり貴重と思う。増してや、それが欧米だけでなく日本でも実現するなんて。

アルバムでは2曲目の『If You Tolerate This Your Children Will Be Next』を、アルバム再現のラストに持ってきた。ステージのバックドロップにはアルバムジャケ写のショットが飾られていて、ただしジャケットでは3人が佇んでいるところ、ここでは風景のみのショットになっていた。なぜか、シングルカットもされている『Nobody Loved You』だけオミットされていた。

インターバルはないが、この後が第二部だ。何が来るか・・・と構えていたら、『Slash ‘n' Burn』だった!ここまで比較的「静」のモードだったので、一気にギアが入った感じだ。更に『You Love Alone Is Not Enough』『Everything Must Go』と続き、昨年リリースされたもっかの新譜『Resistance Is Futile』からの『International Blue』も。まるで、各アルバムからのヒットチューンを抽出してつぎ込んでいるようだ。

そして、『A Design For Life』が放たれてしまったときには、これで幕だと思った。なのにジェームスがもっとほしいだろ的なMCの後に『Little Baby Nothing』を始めたときには、どうやって締めくくるのか予測できなくなった。ガンズの『Sweet Child ‘O' Mine』のフルコーラスカヴァーを経て『You Love Us』が来たときには、ああこれで終わりだなと思った。

が、バンドはまだ手を放す様子はなかった。このライブいったいどこまで続くのかと思いながら観ていると、『No Surface No Feeling』を経ての『Motorcycle Emptiness』がオーラスだった。終わってみれば、ほぼ1時間が50分にも渡るてんこ盛りだった。

セットリスト
The Everlasting
You Stole the Sun From My Heart
Ready for Drowning
My Little Empire
Tsunami
I'm Not Working
You're Tender and You're Tired
Born a Girl
Be Natural
Black Dog on My Shoulder
Prologue to History
S.Y.M.M.
If You Tolerate This Your Children Will Be Next

Slash ‘n' Burn
Your Love Alone Is Not Enough
Everything Must Go
International Blue
A Design for Life
Little Baby Nothing
Sweet Child O' Mine
You Love Us
No Surface All Feeling
Motorcycle Emptiness

マニックスのライブにおよそハズレなどないが、今回も極上のライブだった。特に終盤は1曲1曲がクライマックスで、いつ終わってもおかしくない緊張感から更に演奏が続けられるという、圧巻の展開だった。まるで、ライブが永遠に続いてしまうかのような感覚だった。まさしくオープニング曲タイトルにある通り「Everlasting」なライブだったのだ。

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