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イギー・ポップ(Iggy Pop)『A Passion For Living』

イギー・ポップ(Iggy Pop)『A Passion For Living』

2005年にリリースされた、のドキュメンタリー映像『A Passion For Living』を観た。

アーティストとしての半生を現在のイギーが自ら淡々と語り、合間に当時の映像が流されるという構成になっている。幼少の頃キャンピングカーに住んでいたという話から始まり、やがてアーティストを志し、結成に至る。

ファーストアルバムをジョン・ケイルがプロデュースしたこともあり、ニコと知り合い恋人関係に。そしてニコに勧められる形でドラッグに手を出し、これが以降長きに渡ってイギーを苦しめる。そんな中手を差し伸べたのがであり、ボウイはイギーの作品に全面協力したばかりか、キーボード奏者としてツアーにも帯同。やがてイギーは自らの力で再生を果たす。

その長いキャリアの割には映像作品の少ない人で、この作品の最大の見どころは随所に登場するライヴパフォーマンスだ。91年のライヴを収録した作品『 My Blood』の転用は予測できたが、まさか70年のストゥージズや、ボウイと共にテレビ出演した70年代後半のライヴ映像が観られるとは思わなかった。

ストゥージズではイギーが興奮してステージを降り、フロアに突入してファンに担ぎ上げられた状態でそのまま熱唱。今では若いアーティストが頻繁にやっていることだが、元祖はこの人ではないだろうか(この人以前にこういうことをしそうな人が思いつかない)。

イギーはステージでは狂乱のパフォーマンスをする人だが、その半生を語る本人は意外なほど落ち着いていて、知性すら感じさせる。この人はステージではイギー・ポップというパフォーマーを演じているのかなという気にさせられるし、そのたたずまいは亡くなったプロレスラーのブルーザー・ブロディを思い起こさせる。

イギー関連のドキュメンタリー映像としては、ストゥージズを取り扱った『ギミー・デンジャー(Gimme Danger)』があるが、本作はその姉妹編的な位置づけに当たる気がする。

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