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メアリーの総て(ネタバレあり)

メアリーの総て

19世紀のロンドン。思想家の父親が営む書店の店番をしながら、書物に親しみつつ自作の小説を書いていたメアリー。16歳のときに詩人パーシー・シェリーと知り合い、後に妻子がいるとわかってからも関係を続け、駆け落ちして結ばれる。

メアリーは息子を授かるが、生後幼くして亡くしてしまう。シェリーはお互いを拘束しない自由恋愛を説き、メアリーの彼への信頼は揺らぎ、混乱し、深い悲しみに襲われる。一方で死者の復活について興味を持ち、詩人バイロンのスイスの別荘にシェリーと共に行き、バイロンやその主治医ポリドリらとの交流を経て、取り憑かれたように小説を書き、『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』を仕上げる。

メアリーの実体験や周囲で起こったことは悲劇ばかりだが、それらがことごとく小説の題材になっている。メアリーの母は彼女を出産した後に亡くなっていて、作品ではフランケンシュタインの母は彼の弟が生まれた後に亡くなっている。メアリーは死んだカエルに電流を流すと反射的にカエルが動くさまを見ているが、フランケンシュタインも同じような実験をしている。

メアリーは複数の出版社に掛け合うが、女性が書いたというだけで相手にされない。やっと出版にこぎつけたものの、匿名(女性であることを伏せるため)とシェリーの推薦文が条件とされた。実際に出版されたのは1818年で、ビアトリクス・ポター『ピーターラビット』よりも80年以上前のことになる。女性の地位立場は低いどころではなく、そんな中を折れずに突き進んだメアリーの信念はすごい。

メアリーを演じるのは、。「スーパー8」「幸せへのキセキ」などでも観ているが、子役から始まってまだ若干20歳。メアリー役は演じていて辛かったこともあったかもしれないが、彼女の役の幅を広げたと思う。メアリーの父ウィリアムを演じていたのは、「GOAL!」で主人公ムネスをスカウトした人だった。更には、バイロンの主治医でメアリーのよき理解者でもあったポリドリは、「ボヘミアン・ラプソディ」でロジャー・テイラーを演じていたベン・ハーディだった。髪の色も体型も異なっていて、初見では気づけなかった。

フランケンシュタイン」は何度も映像化されるなどよく知られた作品だが、その作者が女性だと知ったのは、個人的にはここ最近のことだ。「エイリアン・コヴェナント」の終盤で、エイリアンを生み出し暴走するデヴィッドが、バイロンが詠んだオジマンディアスの詩を引用するが、デヴィッドと対決するウォルターが、その詩を詠んだのはシェリーだと訂正する場面がある。後でバイロンとシェリーについて少し調べたときに、メアリーの存在と彼女が『フランケンシュタイン』を書いたことに行き着いた。彼女自身がバイロンとも交流があるとわかったのは、この作品を観てのことだ。

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