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2010年(1984年)

2010年(1984年)

スタンリー・キューブリック監督作「2001年宇宙の旅」の続編「2010年」を観た。劇中の時間軸では前作から9年後になっているが、公開は前作の1968年から16年後の1984年で、監督もピーター・ハイアムズという人に代わっている。

2001年のディスカバリー号木星探査は失敗に終わり、行方不明のボーマン船長の上司だったフロイド博士は責任をとって宇宙評議会を去っていた。米ソ2国間は冷戦状態だったが、宇宙開発においてはソ連のレオーノフ号が木星探査の準備を整えていて、フロイドをはじめ3名のアメリカ人が同乗し出発する。

レオーノフ号は木星の衛星付近にディスカバリー号を発見し、乗り込んでコンピューターHAL9000を蘇生。HALは故障したのではなく、2つの矛盾する命令を受けていたことで統合失調症に陥っていたことがわかる。そして、ディスカバリー号の付近にはモノリスがあり、電磁波が飛び交って地球に飛来。電磁波の正体は、肉体を持たないエネルギー生命体になったボーマンだった。

前作があまりに映像的に美しく、ストーリーも難解かつミステリアスであったために、傑作の評価をゆるぎないものにしている。その続編は前作との比較からはどうしても逃れられず、並のSF映画に留まっている今作はどうにも部が悪い。米ソ冷戦は制作・公開時の情勢を反映したものと思われるが、その後ソ連は崩壊し複数の国に分割されてしまっているのが現状なので、劇中の世界観は風化してしまっている(致し方ないとはいえ)。

ただ、前作を観ていれば楽しめる箇所はいくつもある。エネルギー生命体になったボーマンが妻や母に会いに行ったり、ディスカバリー号がほぼ無傷で浮遊していたりする。また、ボーマンの母が入院している病院の看護師が読んでいる雑誌の表紙には、キューブリックとアーサー・C・クラークが大統領と書記長として描かれている。

主人公フロイドはロイ・シャイダー。前作には出ていない新キャラかと思いきや、前作の前半に出ていた科学者のようだ。どうやら役者交代のようだが、ロイ・シャイダーは「ジョーズ」のイメージが強すぎるので、もっと個性の薄い人にすればしっくりきていたと思う。レオーノフ号の女性船長が、なんとヘレン・ミレンだった。エリザベス女王役や「RED」シリーズでの敏腕スナイパー役など、現在も精力的に活動しているが、ここでの彼女は若々しい。

地球では米ソの緊張関係が高まり、両国首脳からレオーノフ号のクルーに互いに協力はするなというお達しが出る。しかし、ボーマンが2日以内に木星の空域から離れろと警告し、フロイドはそれを受け入れソ連側に協力を申し出る。ディスカバリー号でレオーノフ号を牽引しなければ、地球に帰るための燃料がもたなかったからだ。やがて木星には無数のモノリスが集結し、木星は爆発・・・ではなく、第2の太陽になった。衛星エウロパは人類が誕生する前の地球のような状態になり、そしてモノリスが鎮座。ある意味、前作の冒頭にリンクしている。

アーサー・C・クラークの小説版もあるとのことなので、機会があれば読んでみたい。

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