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リアム・ギャラガー(Liam Gallagher)@日本武道館

公開日: : 最終更新日:2018/09/14 Oasis ,

リアム・ギャラガー(Liam Gallagher)@日本武道館

去年のソニックマニア、およびその直前の単独公演をスルーしていたので、個人的には今回が初のリアムソロライヴになる。しかし、思わぬ追い風によって最高のライヴ体験になった。アリーナ席を取ったのだが、なんとステージ向かってやや右のブロック3列目だったのだ。近い。ステージが近すぎる。

定刻を10分近く過ぎたところで客電が落ち、SEがマンチェスター・シティのものから『Fuckin’ In The Bushes』になったところで歓声が湧く。そしてメンバーが登場するが、なんと先頭を切って姿を見せたのはリアムだった。

『Rock’n’Roll Star』から『Morning Glory』という、これ以上ないスタートだ。変に凝ることなく、ファンが求めているものにストレートに応じる姿勢は、リアムの場合絶対に正しい。そして、これらの曲は錆びつくどころか、2018年の今なおリアリティーを以って響き、聴き応えのある音として鳴っている。

バンドメンバーは、リアムの向かって右にベース、後方にドラムとキーボード、両サイドにそれぞれギターが陣取り、リアムをバックアップする。メンバー紹介がなかったので各人の名前も経歴も不明だが、向かって右の人が大半の曲で間奏のソロを担っていた。ベーシストはコーラスも担っていたのだが、きっちり正確にというより、できる範囲でやっているように見えた。

そしリアムだが、紺のフード付きウインドブレーカーをまとい、シャドウの入ったグラサンをかけていた。体を「く」の字にして歌う例のポーズも、間近で観ると思った以上に体が曲がっていて、逆に歌い辛くはないのだろうかと思ってしまった。バックドロップにはステージのメンバーを映すスクリーンがあるのだが、スクリーンに映るリアムと目の前のホンモノのリアムが自分の視界に収まっていて、なんとも不思議な感覚に襲われた。

去年初のソロアルバム『As You Were』をリリースしていて、中盤はそこからの曲が軸になる。ノエルはもちろんアンディ・ベルもゲムもいない中で作ったアルバムとしては、上出来だと思っている。ノエルとの対比は無意味かもしれないが、どうしても頭の中をよぎってしまう。ノエルはアメリカ的サウンドやシンガーソングライターの方向に進もうとしているが、リアムの方はイギリス的なポップで耳あたりのいいサウンドを追求しているように見え、リアムの方が一本筋が通っているように思える(いや、もちろんノエルの姿勢もアリだけど)。何より、『Wall Of Glass』のイントロの瞬間で「来た」と思えたのだから。

オアシスの頃からリアムは高音が出なくなっているが、それでも頑張って『Some Might Say』を歌い上げていた。続く『Champagne Supernova』はキーボードとふたりだけの弾き語りスタイルで、これも新鮮だった(終盤でメンバーが加わってバンドモードにシフトするのかなと思ったら、弾き語りで通していた)。また、1曲だけビーディ・アイの『Soul Love』を演ってくれた。

そしてだ。ギタリストのひとりがアコギでイントロを弾き始めたときに、その瞬間が来たと思った。『Whatever』だ!実は少し前の海外ツアーのセットリストで確認はしていたが、それでも演奏されるまでは信じることができなかった。オアシス時代には頑なに演奏されず、去年のソニマニや単独でも演奏されていないはずだ。ノエルバージョンは何度か観ているが、リアムバージョンは日本初なのでは?ノエルは、なぜか日本でこの曲人気あるんだよね、と、半ばサービスで歌い演奏してくれてはいた。しかしノエルには悪いが、この曲はやっぱりリアムの声こそが重要なのだ。ぶっちゃけ、この1曲だけで元は取った(笑)。

そしてアンコールだが、まずドラマーが先にセットに収まって聴き覚えのあるイントロを叩き、続いてリアムたちが生還しギターのリフが。そしてリアムが歌い始めたのが、問答無用の『Supersonic』だ。曲の終わり際、リアムが客席を指差して自分が持っているマラカスをやるよ、といった仕草をした。すると、通路のワタシのすぐ横までやってきてマラカスを受け取ったのが、マンチェスター・シティのユニフォームを着た親子だった。なるほどね。

続く『Cigarettes & Alcohol』でお祭り状態になり、そして『Live Forever』だ。リアムはサビの直前に「ジャパニーズ!」と言い放ち、それはつまりワタシたちに歌ってくれという合図だった。ワタシたちが歌っているとき、リアムはドラムセットの前に腰掛けていた。バックドロップの映像はアリーナ前方のファンを映し、ワタシも何度か映った(笑)。オーラスは『Wonderwall』。ここまで約1時間15分と幾分コンパクトに思えたが、とにかく客電がついた。場内が、少しざわざわした。

ステージにスタッフが出入りしていたが、撤収を始めているようには見えなかった。すると、なんと、再び客電が消えた。場内が更にざわつき、悲鳴と歓声が入り混じる中、リアムをはじめメンバーたちが姿を見せた。予定通り?それともハプニング?恐らく後者だ。というのは、向かって左のギタリストが手ぶらのうちに、演奏が始まってしまったからだ(その後この人にはギターが渡された)。

曲は『Be Here Now』。そう、『Be Here Now』だ。なぜこの曲がチョイスされたのか、ワタシはピンときた。ノエルはソロになってから既に武道館でライヴをやっているが、リアムが武道館のステージに立つのは98年のオアシス武道館公演以来だからだ。そして『Be Here Now』は、その20年前のオープニング曲だったのだ。リアムはMCでは特に触れなかったが、自分が武道館に立つ意味と、その空間と時間をファンと分かち合うことの意味を、このように表現してくれたのだと思う。

セットリスト
Fuckin’ In The Bushes(SE)
Rock’n’Roll Star
Morning Glory
Greedy Soul
Wall Of Glass
Bold
For What It’s Worth
Some Might Say
Champagne Supernova
Soul Love
You Better Run
I’ve All I Need
Whatever
アンコール
Supersonic
Cigarettes & Alcohol
Live Forever
Wonderwall
セカンドアンコール
Be Here Now

今回のリアムのライヴ、観る前の心境はワープトツアーでプロフェッツ・オブ・レイジを観る前に似通っていた。かつて頂点を極めたバンドが解散し、その後の活動でそのバンド時代の曲を演奏するとなったとき、ゆるくだれた懐メロ感漂うライヴになってしまうのではないかという不安が、どうしてもぬぐえなかったからだ。アーティストは曲を超えなくてはならないのだと言ったのは、確かボブ・ディランだ。そしてプロフェッツ・オブ・レイジがそうだったように、現在のリアムは曲を超え、曲を操り、現役のアーティストであることを立証してみせたのだ。

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