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ユリイカ 2018年8月号 特集=ケンドリック・ラマー ―USヒップポップ・キングの肖像―

ユリイカ 2018年8月号 特集=ケンドリック・ラマー ―USヒップポップ・キングの肖像―

文藝雑誌ユリイカがケンドリック・ラマーの特集号を出すことは、前々から知ってはいた。ワタシがソレを入手するかどうかは、フジロックのライヴを観て、感銘を受けることができたらと決めていた。そして今、この号を手に取り、興味深く読ませてもらっている。

ケンドリック・ラマーは1987年にシカゴで生まれ、その後カリフォルニアのコンプトンに移り住む。コンプトンはアメリカで最も犯罪率が高い都市のひとつで、ケンドリックは幼少時から街中で人が死ぬ場面を何度も目撃する。やがて2パックやエミネム、ドクター・ドレーらを聴いて、自らもラッパーを志す。荒れる周囲に感化されることなく、学業は優秀だったとのこと。メジャーデビュー後の快進撃は、周知の事実だ。

個人的にケンドリックはおろかヒップホップ事情には全く明るくないので、その周辺事情もフォローしてくれているのはありがたい。ラッパーには感性が前に出る天才型と、スキルを磨いた技巧型があるそうで、ケンドリックは後者だとか。カニエ・ウエストが無責任であることがアーティストの特権というスタンスを取っているのに対し、ケンドリックは人々の代弁者という使命を受け入れているとのこと。

日本人には計り知れないが、アメリカでの黒人人種差別は未だに後を立たない。マーティン・ルーサー・キングから50年が経っているのに、状況はさほどよくなっていない。かつてのラッパーには過激、闘争モードの人が少なくない中、ケンドリックが刻むラップで作られるストーリーは内省的だそうだ。そしてそれこそがリアリティーがあり、世に支持されているのだという。

オバマとも交流があり、ホワイトハウスに呼ばれたこともあるそうだ。オバマは2015年で最も気に入っている曲として、ケンドリックの『How Much A Dollar Really Cost』を挙げている。ケンドリックが南アフリカを訪れたときに得たインスピレーションが基になっていて、金を要求するホームレスの男とそれを一蹴するケンドリックとのやりとりが描かれる。男は実は神で、1ドルの本当の価値は天国に行く対価だと説く。なるほど、すごい展開だ。

ピューリッツアー賞受賞についても、ボブ・ディランがノーベル文学賞を受賞したことと絡めて触れている。ディランがピューリッツアー特別賞を受賞していたことは、はじめて知った。アーティストに賞を与えるのは、賞自体の話題性を高めるためという、冷静な考察もあった。

先日NHKの朝の番組で、ケンドリック・ラマーが紹介された。ワタシは録画に失敗してしまい見逃したが、インタビューを受けるケンドリックには誠実さがにじみ出ていたそうだ。フジロックの映像も、少しだが流れたとのことだ。

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