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ポール・ウェラー(Paul Weller)@横浜ベイホール 2018年1月20日

公開日: : 最終更新日:2024/02/03 ライヴ

ポール・ウェラー(Paul Weller)@横浜ベイホール 2018年1月20日

ポール・ウェラー2年3か月ぶりの来日公演、個人的にも2年3か月前と同じ横浜ベイホール公演以来で、そのときと同じようなポジションに陣取り、前回観た光景を脳裏に浮かべながら開演を待った。土曜日公演ということもあり、完売満員御礼だ。

予定時間を3分フライングして客電が落ち、『Tomorrow Never Knows』がSEとして流れる。曲が終わりそうになった頃、メンバー登場。ウェラーは白(グレーかも)のニットシャツ姿で、体が絞れている印象を受けた。そして、今年還暦を迎えるとは到底思えない若々しさだ。この現役度の高さはすごすぎる。ライヴは、『I'm Where I Should Be』でスタートした。

バンドメンバーは5人で、恐らく前回来日時と同じ人たちだと思う。前列向かって右がギターのスティーヴ・クラドック、左がベースのアンディ・クロフト。後方向かって右がキーボードのアンディ・ルイス、真ん中がドラムのスティーヴ・ピルグリム、左がパーカッションのベン・ゴーデリアだ。ウェラーはほぼ1曲毎にギターを交換するのだが、ステージが狭く、スタッフがギターを渡しに来る度にベースのアンディは行き場を失っている(笑)。

序盤は、前作『Saturns Pattern』および新譜『A Kind Revolution』からの曲を中心に進む。ウェラーは丹念にギターを弾きながら歌っているように見えて、結構新鮮だった。エモーショナルにギターをかき鳴らしながら熱唱する、というイメージの人だったので。ギターのスティーヴの従者ぶりは、最早お馴染み。アンディのベースが思った以上に通りがよく、この人の貢献度がよくわかった。

ジャムやスタイル・カウンシルの曲を解禁するようになってずいぶん経つが、今なおライヴのハイライトのひとつだ。『The Eton Rifles』を序盤で放ったのには驚かされ、『Man in the Corner Shop』でヴォーカルの一部をスティーヴが担っていたのは、ニヤニヤしながら観ていた。そしてスタカン2連発で、『Have You Ever Had It Blue』からの『Shout to the Top!』だ。スタカンを代表する曲のひとつで、これまでのツアーでも日替わりで演奏されていたが、ワタシが行った日にはなかなか当たらなかった。やっと観られたよ。

この日のウェラー用キーボードは向かって左端、アンディの隣に設置されていた。新譜の冒頭曲『Woo Se Mama』では、キーボードの前に腰掛け、前半はギターを抱え交互に弾き分けていた。こんな姿、見たことない。ライヴでのウェラーは、常にギターかキーボードのどちらかを弾いていて、突っ立って歌に専念というイメージはまずない。パフォーマンスも、『Shout to the Top!』以降ギアが一段入ったように見え、エモーショナルモードになってきた。

終盤はジャムの『Start!』から『22 Dreams』と続け、『Peacock Suit』で本編を締めくくった。やや間があってアンコールとなり、今度は一転して聴かせるモードに。ファーストからの『Above the Clouds』は懐かしかった。『Be Happy Children』は、前回来日の同じベイホール公演で、娘リアと息子マックが飛び入りして親子共演し、その様子をウェラーの現夫人ハンナが袖から見ている光景を思い出した。ウェラーが父のために書いた曲だが、子供たちから見たウェラーの曲にもなっているはずだ。

そしてセカンドアンコール。『Wild Blue Yonder』ではじまり(オリジナルアルバム未収録なのね、この曲)、『Long Time』を経て、スタカンの『My Ever Changing Moods』!『Shout to the Top!』とこの曲を同じ公演で観られるなんて!と、思わずテンションがあがってしまった。これをラストに持ってくるのは、日本のファンへのサービスではないのかな。

メンバー全員がステージ前方に並んで礼をし、これでおしまい・・・のはずが、ウェラーはキーボードの前に腰掛けた。『Broken Stones』のイントロを弾きはじめ、メンバーは慌てておのおのの持ち場に戻り、演奏に加わる。これは、明らかに予定になかったウェラーの行動だ。92年のNHKホール以来、毎回の来日に必ず足を運んできたが、こんなハプニングは見たことがない。若さゆえの、ではなく、還暦間近にして勢い余っているのだ。そして、曲調からしてこれが最後とは思えないと思ったら、ラストはギターに持ち替えての『The Changingman』で決めてくれた。

セットリスト
SE:Tomorrow Never Knows(The Beatles song)
I'm Where I Should Be
White Sky
From the Floorboards Up
The Eton Rifles(The Jam song)
Nova
Saturns Pattern
Long Long Road
Up in Suze's Room
She Moves With the Fayre
Into Tomorrow
Man in the Corner Shop(The Jam song)
Have You Ever Had It Blue(The Style Council song)
Shout to the Top!(The Style Council song)
Hung Up
You Do Something To Me
Woo Se Mama
Friday Street
Porcelain Gods
Start!(The Jam song)
22 Dreams
Peacock Suit

Encore:
These City Streets
Above the Clouds
Be Happy Children

Encore 2:
Wild Blue Yonder
Long Time
My Ever Changing Moods(The Style Council song)
Broken Stones(セットリスト記載なし)
The Changingman(セットリスト記載なし)

実は、ワタシはセットリストが見える位置でライヴを楽しんでいた。ラスト2曲は誰の目にも予定外とわかっただろうが、実は途中でもセットリストとは異なる曲をウェラーが演奏しているのが、手に取るようにわかった。序盤の『Long Long Road』はセトリでは『Going My Way』だったし、中盤の『You Do Something To Me』の方が本来『Long Long Road』だった。セカンドアンコールの冒頭には、『The Impossible Idea』と書かれていた。

つまり、ウェラーは枠にとらわれない人、そのときのフィーリングを優先する人なのだろう。そして、そんなウェラーをバックアップし続けるバンドやスタッフもまた、素晴らしきアーティストたちだ。

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