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スティーヴン・キング「ゴールデン・ボーイ」

刑務所のリタ・ヘイワース/ゴールデンボーイ

13歳の少年トッドは、成績優秀でスポーツもこなす。周囲の評判もよく、両親にとっては自慢の息子だ。あるときトッドは、古い雑誌にあった戦争や強制収容所の記事に興味を持ち、近所に住む老人が元ナチスの軍人であると気づく。

トッドは老人に近づき、元ナチスであることを口外しない代わりに収容所のことを話すよう迫る。もちろん老人は最初のうちは相手にしなかったが、脅しに従わざるをえなくなって話すようになり、軍服のコスプレにも応じてしまう。やがて、老人の中には当時の狂気がよみがえり、トッドの中にもある衝動が湧き起こってくる。

スティーヴン・キング原作の小説で、ワタシが読んだのは新潮文庫だ。「刑務所のリタ・ヘイワース」と併せて収録されており、当初ワタシは映画「ショーシャンクの空に」を観たことから、その原作の「刑務所の〜」目当てで購入。文庫のタイトルは「ゴールデンボーイ」になっていて、なぜ「刑務所の〜」の方をタイトルにしないのかとも思ったが、こちらはこちらで面白かった。

日常の中に潜む非日常が徐々に加速し、最後は非日常がはっきりと表面に踊り出てしまう。映画化もされたとのことだが、ラストは変更されているとのこと。‎感動ものの「刑務所の〜」とは真逆だが、むしろこちらの方がもしかしたらキングらしい作風なのかも。

実は「ゴールデンボーイ」は、「刑務所のリタ・ヘイワース」と世界観を同じくしている。かつての身の上を隠して余生を過ごしている老人は、株の配当で生計を立てていて、それには銀行員のアドバイスを受けていた。その銀行員は後に妻殺しで刑務所行きになったことまで、老人は語っている。つまりその人物こそ、「刑務所の〜」の主人公アンディ・デュフレーンだったのだ。

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