*

ボブ・ディラン 全年代インタビュー集

公開日: : 最終更新日:2023/02/12 書籍 ,

ボブ・ディラン 全年代インタビュー集

インタビュー嫌いとされるだが、アメリカの音楽誌ローリング・ストーンに掲載されたインタビューをとりまとめた本があって、読んでみた。

1965年の記者会見にはじまり、当時20代半ばのディランはとんがっている。本心なのか適当なのかわからない独特の言い回しでまくしたて、はぐらかす。映像『Don't Look Back』で垣間見ることのできるディランとほぼ同じイメージだ。かと思えば、後にローリング・ストーン誌の編集長になる男との対面インタビューでは、驚くほど素直に受け答えしていて、むしろこちらの方に驚いてしまう。

全編がディラン本人のインタビューではなく、記者が書いた記事でところどころにディランのコメントが組み込まれていたり、あるいは、周辺にいる人によるディランの人物像もあったりして、場合によってはこちらの方が面白い。ディランがシンガーとして売れ始めた頃、幼馴染の女性に声をかけて付き合ってほしいと言ってきてその女性がびっくりしたとのこと。当時、ディランがジョーン・バエズと付き合っていたのは周知の事実だったからだ。

そのジョーン・バエズの証言は、更に興味深い。ディランがアコースティックからエレクトリックに移行する頃、バエズはディランのツアーに帯同したものの、ステージに立たせてもらえなかった。バエズはディランが招き入れてくれるのを期待したが、とうとうそれはならなかった。このときのバエズは、アーティストではなくディランのスタッフ同然の扱いだった。そして、ディランには新しい彼女ができていたことがわかった。

若きディランの女性関係が暴かれるにつけ、ディランは神様でも聖人でもなく、ひとりの男なんだなと思わせてくれる。しかし、男なら共感できるところもあるが、果たして女性はどうか?とも思ってしまう。

インタビューは80年代や90年代、そして21世紀のものもある。日本のメディアにとってはディランのインタビューをとるのはかなりのハードルに思える一方、どうやら、全くインタビューを受けないわけでもないらしい。のように基本的にアルバムとライヴ以外のコミュニケーションを求めていない人だと思っていたが、そのときそのときの気分によるようだ。

関連記事

ボブ・ディラン自伝(Bob Dylan)

分厚い本だったが、せっせと読んだ。ディランについて書かれた本はこれまでに何冊か読んだことがあ

記事を読む

現代思想 2010年5月臨時増刊号 総特集◎ボブ・ディラン

文藝誌ユリイカを出版している青土社は、『現代思想』という文芸誌も出版している。個人的にまず縁

記事を読む

ボブ・ディラン マイ・バック・ページズ

河出書房から昨年暮れに出版された、ボブ・ディランの特集本を入手した。タイトルの『マイ・バック

記事を読む

ボブ・ディラン(Bob Dylan)が執筆した『タランチュラ』

2016年にノーベル文学賞を受賞した、ボブ・ディラン。歌詞による世界観が評価されてと思われる

記事を読む

どんとさんのボブ・ディランレポート(1994年)

昨年、ボ・ガンボスのどんとさんが亡くなった。当人と交流のあったミュージシャンたちによるサマー

記事を読む

  • 全て開く | 全て閉じる
PAGE TOP ↑