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浜田省吾『”J.Boy” 30th Anniversary Edition』

浜田省吾『

浜田省吾が代表作『J.Boy』をリリースしたのは、1986年。今年は30周年にあたり、アニヴァーサリーエディションが複数パターンで発売された。ワタシが入手したのは、2CD+2DVDの完全限定生産盤だ。

まずはCD。1999年リミックスバージョンで、恥ずかしながらワタシはオリジナルとリミックスの2つのバージョンが世に出ていることを知らなかった。自分が持っている盤はオリジナルの方で、聴き比べるという楽しみができた。ただ単に聴いてしまうと、リミックスは音がクリアで、オリジナルは幾分音がこもっているように感じる。

がしかし、浜田のバンドメンバーのひとり、キーボーディスト福田裕彦による素晴らしい全曲解説があり、2つのバージョンの音楽的な違いや想定される当時のエピソード、歌詞に描かれる人物の視点などの情報を得て聴くと、上記のような漠然とした感想だけでなく、新たな発見がいくつもあった。『A NEW STYLE WAR』のイントロのシンセはヴァン・ヘイレン『Jump』を意識しているとか、思ったこともなかった。当時シンセを手にしたミュージシャンは、みなやりたがったそうだ。

DVDは更に貴重だ。1枚目は、86年10月の東京代々木公演を収録していて、今回はじめて世に出た映像だ。画面が暗めなのには時代を感じるが、ティアドロップのサングラスをかけた浜田がステージを右に左にと疾走し、溢れんばかりのエネルギーを放っている。

バンド名はTHE FUSEとなっていて、ジャクソン・ブラウンの曲からとったとか。町支と古村は、今よりだいぶ若々しい。ギターは町支ひとりで、その分浜田自身も結構プレイしている。トレモロアームを駆使する浜田の姿は、今ではもう見られないだろう。ホーンセクションは、今に劣らず充実している。セットリストは当然ながら『J.Boy』を軸にしていて、あれもこれもと演奏されており、羨ましい限りだ。

DVD2枚目は、『AMERICA』のPVや30年分の映像をミックスした『J.Boy』などだ。分厚い写真集は、レコーディングした地と思われるアメリカを中心にした構成になっている。

ライナーノーツも、読み応えがある。音楽誌に留まらない、インタビューの数々。プロデューサー岩熊をはじめとする、関係者の貴重な証言。アメリカでのレコーディングは、ジャクソン・ブラウン『Hold Out』を手がけたエンジニアを浜田サイドが指名したことがきっかけのひとつだそうだ。ツアーの規模をアリーナクラスにしたのも、『J.Boy』のときがはじめてとのこと。この前の年にブルース・スプリングスティーンの初来日公演があり、大会場で爆音なのに音響が素晴らしく、業界は震撼したとのこと。そのときに得た感触を、浜田のツアーにも反映させたそうだ。

浜田やファンにとっての決定的なアルバムとしてだけでなく、日本のロックに刻まれた大いなる財産のひとつになる作品だと思う。

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