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シンドラーのリスト(1993年)

公開日: : 最終更新日:2020/07/04 スティーヴン・スピルバーグ

シンドラーのリスト(1993年)

エンターテイメント映画の巨匠が、第二次大戦中のドイツを舞台とする実在の人物を描いた映画で、アカデミー賞を8部門受賞している。

実業家オスカー・シンドラーは、当時ユダヤ人虐待を進めるドイツ軍を尻目に、工場の労働力をユダヤ人に求める。シンドラーには軍もあまり口は出せないらしく(ナチス党員でもあり、かつ軍に献金しているから)、シンドラーは富を築き上げる。やがてユダヤ人の大量虐殺が始まり、シンドラーは必要な労働力以上のユダヤ人を確保するように奔走。やがて終戦を迎えるとユダヤ人たちは解放され、一転してシンドラーは追われる身に。

収容所の所長は、自分の気分次第でユダヤ人をまるで虫けらのように殺す。その所長とも酒を酌み交わすシンドラーは、決して根っからの善人ではなかったはず。富を使ってユダヤ人を助けた行為というのは、ユダヤ人とドイツ人という、当時の絶対的な立場関係の中で、ユダヤ人を哀れに思ってだけのことのように見えなくもない(という描き方を敢えてしているのかもしれない)。

しかし、そんなごちゃごちゃした考えは、ラストシーンでいっぺんに払拭される。映画は全編モノクロなのだが、ラストに差し掛かったところでカラーになり、時代は一気に現代へ。シンドラーの墓に石を積み上げる(献花の意かな)人たちが後を絶たず、そしてよく見てみると、石を積み上げる人たちは、シンドラーに救われて今もなお生きている人たちだったのだ。ちなみに、スピルバーグ自身がユダヤ人であることを明らかにしたのは、この作品を公開したときだった。

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