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時計じかけのオレンジ 完全版(小説)

時計じかけのオレンジ 完全版

スタンリー・キューブリック監督による劇場公開作品が有名だが、実は原作の小説があって、読んでみた。

主人公アレックスは、仲間と暴力に明け暮れるが、やがて逮捕され刑務所行きに。14年の実刑を2年で終える代わりにある療法の被験者となり、その結果、悪事を働こうとすると気持ちが悪くなる体質になり、出所後かつて自分が悪さをした相手やかつての仲間たちから暴力を受ける。

映画の方は何度か観ている。「2001年宇宙の旅」「シャイニング」のように、原作にとらわれず自身の解釈を注入しているキューブリックのことだから、きっとこの作品も原作とはかなり相違があるのではと思っていた。ところが、読んだ内容は映像と大筋で同じで、キューブリックが原作に忠実だったことにびっくりしてしまった。

ただし、ラストが決定的に異なっている。映画は、アレックスが療法を受ける前の状態に戻ったことを暗示させて終わるが、原作にはその後があって、新しい仲間と以前のように悪さを働くアレックスが、ふと立ち寄った喫茶店でかつての仲間のひとりと遭い、その男が結婚し子供を設けているのを知って自身を改めようと考えるところで終わるのだ。

あとがきにフォローがあって、原作も最終章が「ある版」と「ない版」の2種類が存在していたとのこと。日本で「ある版」の初訳が出たのは、80年代になってからだそうだ。つまり、キューブリックは「ある版」の存在を知りつつ、そんな出版社に無理くり書かされたかのような終わり方があるかと思い、「ない版」を採用したらしい。だから、今回読んだ本のタイトルも「完全版」となっているのだ。

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